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グルメ・クッキング

2009年5月19日 (火)

スウェーデン的「危険物」

先週、日本から旧ユーゴ研究をしている同僚がバルカン訪問の前にスウェーデンを訪れてくれた。彼は同僚のなかでも数少ない『スタートレック』仲間なので、まだ日本では未公開の『スタートレック』を見にいったり、今一度初心にかえってウップサーラ・ストックホルムの歴史的名所を案内したりした。(『スタートレック』については日本未公開だから詳細は控えるけれど…ただ一言だけ。最後の終わり方は長年『スタートレック』を愛好してきた人には感涙ものだと思う。少なくとも僕は最後のシーンからエンドロールへの流れだけでも100SEKを払った甲斐があったと思っている。)

今回はそのストックホルム案内で見つけた「危険物」の話。日本人から見ると、スウェーデンには「これはバイオ・テロに匹敵するのではないか?」と思わせるような不味い食べ物がある。最近は日本でも入手できるようになった激しい臭気をもつシュールストロミング(発酵鰊)や「世界一不味い菓子」との異名をとる塩ラクリスはその代表だろう。個人的には、昨春ストックホルムに滞在した際に入手したKalles kavier(…スウェーデン語でキャヴィアは「魚卵」を意味する…)の「シマシマ・バナナ味」と名のついたバナナ味のタラコ・ペーストもその一つとして挙げられる。今回のウップサーラ滞在でこのバナナ味のタラコ・ペーストを探しているのだが、どの店に行っても見つけることはできない。たぶんスウェーデン人自身も、その不味さに気がついてしまったのだろう。

090516i_2 先週、僕はそうした「危険物」をストックホルムのノベル博物館で見つけた。ここで最初にご覧頂く写真はノベル賞のメダルを象ったメダル・チョコレート。これは、昨年のノベル物理学賞受賞者である京大名誉教授の益川先生がスウェーデン土産として大量に購入したことが報道されて以来、ストックホルムを訪れる日本人観光客の間でダントツ人気の代物である。このメダル・チョコレートはストックホルムのガムラ・スタンにある(…かの「ストックホルムの血浴」の現場になった大広場に面している…)ノベル博物館でしか購入することができない。先週のストックホルム滞在は日本から訪れてくれた同僚を案内することが目的だったが、個人的にはこれを機会に是非このメダル・チョコレートを入手しようと、ついでにノベル博物館を訪れたのである。(…ノベル博物館自体は、ノベルの有名な遺言状の現物をのぞけば、展示はあまりおもしろくない…。)

090516m メダル・チョコレートは全く「危険物」ではない。その味は、可もなく不可もなくといったところ。さて問題の「危険物」は次にご覧頂く写真に写っている物…その名もダイナマイト・ポルカグリース(…パッケージには、エクストラ・ダイナマイトとある…)。ポルカグリースは、スウェーデン人が好んで食す駄菓子(…その総称をスウェーデン語ではgodis(ゴディス)と呼ぶ。日本語版wikipediaではゴディスがキャンディーとされていて、しかもキャンディーが見出し語にもなっているが、キャンディーはゴディスの一部に過ぎず、この点でwikipediaは重大な間違いを犯している。たぶん日本語版wikipediaでスウェーデンのことをよく執筆されていらっしゃる方のなかには、このブログもご覧になられている方もおられると思うので、是非修正をお願いしたい…。)の一つで、堅い棒状のキャンディーである。通常のポルカグリースは桃色と白色の外観で濃厚な甘味をもつ。スウェーデン版の千歳飴といった感じだ。そもそもこのキャンディーの堅さと、溶け出したら歯の詰め物も剝がれるほどの粘着性から、通常のポルカグリース自体が「危険」な駄菓子といえる。しかしここにご覧頂くダイナマイト・ポルカグリースは…甘いだけのポルカグリースとはまさに「ひと味」違う。その一欠片を口に含むと最初のうちは甘いのだが…やがて辛さが口の中に充満し…通常の味覚をもった人間なら激しい不味さしか残らない。

このダイナマイト・ポルカグリース。紙パッケージは、かつてノベル自身が起こしたニトログリセリン株式会社の製造していたダイナマイトの包装紙を模している。そこに記載している原材料を調べてみたら…さすがにニトログリセリンは含まれていないものの…唐辛子のなかでも強い辛みが特徴であるパラペーニョが含まれていた。おそらくこのダイナマイト・ポルカグリースの企画に携わったスウェーデン人たちは、ダイナマイトの爆発力を味で再現しようとして、結果を考慮することなく安易にパラペーニョを混ぜたのではないか…。その結果、確かにその不味さは、ダイナマイト級となった。僕はこのダイナマイト・ポルカグリースをウップサーラにいる家族にストックホルム土産として買ってきた。けれど子供たちはすぐにはき出す始末で、今現在購入者である僕が自ら責任をとって消費中である。

スウェーデンは武器輸出国としても世界にその名が知られているが、まさか…人類の味覚を崩壊させるという新たなバイオ・テロ用の武器として、激しく不味い食べ物をあれこれと開発してるんじゃないよね〜(冗談、冗談…そもそも美味い物じゃなければ世界に普及しないわけだから、そんなテロ戦術は成立しない。)いずれにせよ、このダイナマイト・ポルカグリースは、日本の食をめぐる安全保障上大変な「危険物」と判断したため、僕は土産物として持ち込まないことを決めたので悪しからず。

2009年4月17日 (金)

Systembolagetで世界を思う

というわけで、気分爽やかに迎えた週末なので、Systembolagetがらみの話をひとつ。

スウェーデンでもっともスウェーデン的な場所は、おそらくSystembolagetの酒類小売店舗だと思う。ここで僕が言うスウェーデン的という言葉の意味は、体系化された管理システムで得られる安定ということである。

スウェーデンではおよそアルコール度数5%以上の酒類を小売店舗にて自由に販売・購入することはできず、その流通と小売はSystembolagetによって管理されている。例えば、隣国デンマークのように酒類を自由に買えないということが不自由かといえば、そうではない。スウェーデンの都市部にあるSystembolagetの店舗には、Systembolagetが買い付けた世界中の酒類が網羅的、かつ体系的に販売されている。その販売カタログは季刊発行の全体カタログに加え、最近は毎月新たに販売される酒類リストも月刊で配布されるようにもなった。ウップサーラでいえば、世界の体系だった知は、かつてウップサーラ大学にてフランス語教員を務めていたフーコーが彼の学位論文となった『狂気の歴史』を執筆するために通い詰めたことでも知られる大学総合図書館(Carolina Rediviva)に集約されていることは言うまでもない。そして、もしその次に世界の文化が集約されている場を求めようとするならば、おそらくSystembolagetになろうと僕は思う。

僕も年を取ってスウェーデン語の知識と酒の知識が増えるにつれて、スウェーデンでSystembolagetを訪れる度に新たな発見をするようになった。例えば、今回のウップサーラ滞在では、意外にもスウェーデンで、スペインのヘレス地方で生産されている酒精強化ワインであるシェリーが豊富に、しかも安く販売されていることを知った。Systembolagetで売られているシェリーは、辛口のフィーノ、酸化熟成が進み褐色がかったアモンティリャード、滑らかな口当たりで甘口のオロロソ…といったように、大抵の小売店舗の陳列棚では、辛口から甘口へとその種類別に並べて売られている。そこは生物分類の体系化を果たしたカール・フォン・リネーを生んだお国柄。彼の『自然の体系』よろしく、Systembolagetにおける酒類の陳列は、酒の世界が見事に体系化されている。そして今回、そうした様々な種類のシェリーのなかに、イングランドでは良く知られたハーヴェイ社のブリストル・クリームが、ここスウェーデンでも売られていることに気がついた。

シェークスピアが『ウィンザーの陽気な女房』のなかでファルスタッフの愛飲した酒として描いているように、シェリーはスペインのヘレス地方で生産されるものの、「イングランドのワイン」として人気を博した酒である。その背景には、百年戦争でフランス領を失った後のイングランドに対する純正ワインの輸入量減少と、レコンキスタを完成させた後のスペイン王国によるイングランドへのシェリー輸出振興政策があるとされているが、ここでは深追いはしない。「フランスのワイン」ではなく「イングランドのワイン」としてシェリーが好まれていたということだけ、理解していただければよい。現在のように樽を幾重にも並べるソレラ・システムでシェリーが生産されるようになったのは19世紀以降とされているが、19世紀はイングランドでアフタヌーン・ティーや食前酒・食後酒の習慣が普及した時代でもあった。(シェリー樽を使うスコッチ・ウィスキーの話や、この時期にフランスで猛威をふるったフィノキセラの話についても深追いはしない。)例えば、ハーヴェイ社のブリストル・クリームは食後酒としてよく提供される。その特徴は、クリームのように滑らかで甘美な味わいにあり、ここで言うクリームとは、シェリーの一種類を指す名前である。それは、辛口のフィーノ、褐色がかったアモンティリャード、甘口のオロロソをブレンドしてつくられる。ブリストル・クリームを生産しているハーヴェイ社は、アフタヌーン・ティーや食前酒・食後酒の習慣が普及しはじめた頃にブリストルに設立された会社であった。

ブリストルはイングランド西部にあって、古来スペインなどのヨーロッパ大陸諸国と、16世紀以降はアメリカ大陸との交易の拠点となった港町。ブリストルは、もともとアイルランドから輸入された羊毛を原料として毛織物を生産し、それを輸出することで栄えていた。毛織物の輸出先の一つにはスペインがあり、スペインにむけて毛織物を積んだ商船は、シェリーの生産されるヘレスを後背地にもったスペイン南部の港町カディスに達し、毛織物を積み出した後にはヘレスで生産されたシェリーを積んでブリストルに戻ってきた。いわばブリストルは、イングランドにとってシェリーの玄関口にあたる港町だった。かつてのハーヴェイ社は、フィーノやアモンティリャード、オロロソといったシェリーを購入してブリストルに持ち帰り、ブリストルでクリームを生産していた。今ではハーヴェイ社はブリストル・クレームをスペイン・アンダルシア地方のヘレスで生産しているが、それでもその銘柄にブリストルという名前を冠しているのには、そうした背景がある。

そもそもブリストルを出航したイングランド商船の寄港先だったカディスは、今から3000年ほど前にヘレスで酒精強化ワインを作りはじめたフェニキア人が交易拠点としてつくった港町であり、かのコロンブスが新大陸アメリカを目指して出立した港でもあった。スウェーデンとの関係で言えば、かつてユーテボリより出航したスウェーデン東インド会社の商船団が中国の広州を目指す長い航海の前に必ず寄港した港町が、カディスだった。シェリーは長期間に及ぶ大航海を支えた酒としても知られているが、紀元前の昔にあっては地中海を支配したフェニキア、今から500年ほど前にあってはアメリカからアジアにまたがる「陽の沈まぬ帝国」を築いたスペイン帝国、そして今から200〜100年ほど前にあっては七つの海を支配したブリテン帝国と、それぞれの時代にあって世界を支配した帝国に愛された酒だったのではないか…と僕は陳列棚に並べられたブリストル・クリームを手にしてふと思った。

ことほど左様に、Systembolagetとは、酒という世界が体系化された場所であるがゆえに、ヨーロッパの北の辺境にあってもそんな世界への思いの馳せ方ができる場所である。

2009年3月 1日 (日)

アクアヴィットとインベンションの試み

本来なら国際シンポジウム(とりわけワークショップ…東京からも多くの方々にお越し頂き貴重なコメントを頂いたので…)へのコメントを書くべき所だけれども、この2月半ば以来、睡眠時間もろくにとれない生活が続いている。それは3月に入っても同じことで、休む暇もなく今も今週に抱えた北海道大学での研究報告の準備中。ここ数日は、身体の各所がパンパンに張っている…ような感じがする。

それでも昨日は一つ大きな仕事をやり終えた後、「よくやった」と自分で自分を褒めるべく、行きつけのバー「キース」に立ち寄った。バーテンダーの山本さんは僕にとっては『美味しんぼ』の岡星にあたる方で、創意工夫に満ちた仕事ぶりに(…そしてときには相談相手としても…)信頼を寄せている。昨晩はスウェーデンのアクアヴィットO.P.Anderssonが入ったということで、久しぶりにそれを頂くことにした。けれども、なにせこちらはハードワークが続いて疲弊しきった身体状態。アクアビットの飲酒スタイルはストレートが基本だけれども、こんな体調でアルコール度数40%をストレートで頂くのはさすがに毒だ。そこで昨晩は、アクアヴィットをベースとした飲み方に創意工夫を凝らしてもらった。

アクアヴィットといってもその種類は実に多種多様。一般的にはジャガイモを原料とした蒸留酒と言われるが、現在ではジャガイモだけではなくトウモロコシ・ベースのものもあり(…スウェーデンでも、デンマークでも、主原料が記載されていない場合が多いが、ここが一つ目の企業秘密的な部分になっている…)、さらにその銘柄はそれぞれの香り付けに用いられている香辛料の種類や調合の割合によって香味も様々である。スウェーデンで最もポピュラーなアクアヴィットの銘柄の一つO.P.Anderssonの場合、キャラウェイ、アニス、フェンネルが用いられている。ジャガイモ(ないしはトウモロコシ)を蒸留した際の土臭さを和らげ、身体にも好影響を与える香辛料のバリエーション(…ここが二つ目の企業秘密的な部分になっている…)こそが、実のところ、アクアヴィットのそれぞれの銘柄を楽しむ醍醐味と言える。例えば、世界で最もポピュラーなデンマークのAalborg Taffel Akvavitならばキャラウェイ主体の香り付けなので比較的飲みやすいが、これがスウェーデンのO.P.Anderssonになるとフェンネルが加わってくるために胃薬のような香りがどうしても強くなってしまう。もしアクアヴィットの味が土臭いと感じる人がいるとするならば、それはそうした香辛料による香味の反作用だと思う。

昨晩のキースのカウンタにおける創作の試みは、ジンベースのカクテルを代用することからはじまった。というのも、アクアヴィットは、フレーバード・ウォッカを別とすれば基本的に香り付けされることのないウォッカというより、セイヨウネズの松かさを用いて香り付けをしているジンと味と香りの性格が似ていると考えたためである。肉体疲労時にトニック・ウォータを頂くのはヨーロッパの食文化の知恵…ということで(笑)、まずはジン・トニックを代用することからはじめた。これは、個人的にはアクアヴィットの香味とトニック・ウォータの香味(…トニック・ウォータはただの炭酸水とは香料が添加されている点で異なる…)、さらにはライムの香味が三者三様にぶつかり合って、錫杯のなかでコンフリクトが起きているように感じた。

次に日本が誇るカクテルである水割りを試すことにした。おそらくただ水で割ったとしたら、アクアビット独特の土臭い香味だけが強調される結果に終わったことだろう。そこは山本さんの経験と勘が活かされ、彼はとっさに蜂蜜を混ぜた上で水割りを作って下さった。結果、これはスーゥッと胃袋に入っていく、とても飲みやすいものに仕上がった。ただし蜂蜜の香も味もアクアヴィットの香味に打ち消されており、あくまでも味はアクアヴィットそのままであったから、アクアヴィットの独特な香味が苦手な人には無理な代物だろう。

結果、昨晩のシメは、いつものようにデーニッシュ・メアリに落ち着いた。デーニッシュ・メアリとは、本来ウォッカとトマト・ジュースでつくられるブラッディ・メアリを、アクアヴィットに代えてつくるものある。幼い頃より僕は無類のトマト・ジュース好きということもあるけれど、僕はシメにブラッディ・メアリを注文することが多い。そもそもブラッディ・メアリは店によっては塩やコショウ、ときにはソースやタバスコなどを加えることもあって、夕方の仕事帰りに腹を空かせた身からすると一種の冷製スープのように思えるカクテルであるからだ。バーテンダの創意と工夫によっては、ブラッディ・メアリにセロリやニンジンなどを加えるところもあるだろう。ことほど左様にブラッディ・メアリは味と香りの調整を楽しむことができるカクテルだから、ジン・ベースならブラッディ・サム、ビール・ベースならレッド・アイ…といったように様々なヴァリエーションがある。アクアヴィットをベースとしたデーニッシュ・メアリも然り。お腹を空かせたアクアヴィット好きにはたまらない極上の冷製スープを頂くといった感じだ。デーニッシュ・メアリの場合には、香草類の性格が強いので、レモングラスやコブミカンの葉などを用いるトムヤンスープのような感覚に近い。

そうしたアクアヴィットをめぐる創造の試みは、仕事で疲れた僕の灰色の脳細胞に再び想像力の喝を与える。キースで頂く一品料理もまた格別だけれども、いずれ貝が入る機会があったら、ブラッディ・メアリに貝のエキスを加えるブラッディ・シーザーのアクアヴィット版を試してもらおう。ここまでくると本当にスープのようだ。

2008年6月29日 (日)

箕面のビール

先日、科研関連で世話になっている院生を連れて阪急箕面駅に近い「箕面物語 耀」を訪れた。院生たちが「ビールは苦い」とばかり言うものだから、「ビールはいろいろだ」ということを教えようと思って訪れた店だったが、実に居心地のよい時間を過ごすことができた。

こちらは、箕面ビールの直営店の一つであり、箕面ビールの数ある商品を実際に味わうことができる。先日はリアルエールはなかったが、ボトリングされたものはほとんどが置いてあり、ラガー、ダークラガー、ピルスナー、スタウト、ヴァイツェン、ペールエール、カベルネエールあたりをあけた。(カベルネは、麦汁にカベルネソーヴィニヨンの果汁を添加させたオリジナル発泡酒。)まぁ、スタウト、ヴァイツェン、ペールエールあたりの甘みで、院生たちはビールの深さを知ってもらえたようでよかった。

(箕面ビールはいろいろとつくられていて、かのエカチェリーナ2世が愛飲したことで知られる甘〜いインペリアルスタウトや、大英帝国を語る上で欠くことのできないIPA(インディアン・ペールエール→しかも強さをその二倍にしたダブルIPA)なども作られている。ダブルIPAは確かに絶品。)

しかし、この「箕面物語 耀」の良かったところは、決して箕面ビールが飲めるだけではなく、箕面の地場産業と密な関係をもって、僕たち訪れる者の舌と胃を楽しませてくれるところだ。例えば、サラダなどで何気なくだされる野菜。これは、やなもり農園というところのものだという。確かに、生トマトの甘く、美味いこと、美味いこと。例えば、メンチカツのお肉。これは箕面商店街の老舗の肉屋サンエイからのものだという。他にも、行者蕎麦なんかもあったりして、シメにはそれが良い。

これもまた箕面に来なければ味わえない食と時間の話。

(大阪大学外国語学部の最寄りの駅を千里中央ではなくて、阪急箕面駅にしてしまおう!そうすれば、ゼミの打ち上げなども、箕面でできるようになる!)

箕面の豚カツ

久しぶりの休日に家族と箕面へ豚カツを食べに出かけた。東京に住んでいた頃は、谷根千界隈に住んでいたこと、妻が大の豚カツ好きということから、上野あたりまで出ては、よく「美味い」とされている豚カツ屋さんに出入りしていた。けれど、大阪に来てからは、「ここだ!」と言える豚カツ屋はなかった。

(同じようなことは、ラーメン屋、蕎麦屋にも言える。蕎麦屋は北摂にボチボチと良い店を紹介してもらっていはいるが、ラーメン屋はまだまだ。)

昨日、箕面へ訪れた豚カツ屋は「豊か」という店。(知っている人は知っているのだろう。このあたりでは大変有名な店だ。)サクサクの豚カツに塩を振って食べる形。塩で喰わせるなんて、濃厚なソースの味で豚カツの風味をごまかすことができないわけだから、よほどの自信がなければできないこと。しかしその自信は、そっと添えられている塩の控えめな存在に隠れている。塩はほんのりと甘からく、付け合わせの梅干しも甘さと塩辛さが良い塩梅。個人的な感想を言えば、この店の内装、照明、対応、味のすべてが、「良い塩梅」。奇をてらわず、勝を誇らず。箕面にこれほどの「美味い」豚カツ屋があるとは!

飲み物には、「豊かオリジナルプレミアムビール」をいただいた。一口、これはどこかでいただいたことのある味だと思い、ラベルを見るや、製造元がA.J.I.Beerとなっている。これは、ブランドネームとしては「箕面ビール」を作っているブルワリ。なるほど、箕面ビールでいえば「心友ビール」という名前で売り出されているピルスナータイプに近いわけだ。ラベルはオリジナルのラベルがついていて、それとはわからないけれど、無濾過処理なので日持ちはしない。

箕面でつくられ、箕面でしか味わえない味。この豚カツも、このビールも。

2008年5月28日 (水)

ソレラの会のこと

これまでこのブログで発言することはあえて避けてきたのですが、今年に入ってから自分の幅といいましょうか、自分の可能性を広げてみる新たな挑戦として、ソレラの会という企画をぼちぼちとはじめました。

ソレラの会は、大阪の町中の酒場を舞台にして、実際に酒と食を嗜みながら世界の文化についてざっくばらんに語り合おうとする会です。会の名前にある“ソレラ”とは、シェリー酒が熟成されるときに貯蔵樽を積み上げる“ソレラ・システム”に由来しています。趣味と実益を兼ねていると言われれば確かにその通りです。が、僕は以下のように考えて、趣旨に賛同してくれた大阪の町中の人たちと(…今のところ、大学関係者は皆無です…)この会を立ち上げました。

つまり、酒はどの時代、どの地域、どの文化にも存在するものであり、人間を語るうえで切っても切れない関係にあるものと考えています。だからこそ、酒は、時間や空間を超えて人間や世界を知る格好の切り口を僕たちに与えてくれる有効な素材ではないでしょうか。酒を通じて得られる人間や世界への教養は、酒場での時間をより楽しくしてくれるだけではなく、僕たちの人生や僕たちの生きる社会への見方をより豊かにしてくれるものと僕は考えています。

酒場は酒を嗜むだけでも楽しい時間を提供してくれる空間ですが、啓蒙期のヨーロッパではコーヒーハウスや酒場で語られた議論が、新しい時代をつくりあげる原動力の一つになったとも言われていますよね。シェリー酒の芳醇な味を育む“ソレラ・システム”のように、一つ一つは小さな教養も少しづつ蓄積され、酒場に集う仲間との対話のなかで熟成されていけば、人生を豊かにする大きな力をもつものになる。酒場がつくりあげる「語らい」の力。21世紀の大阪の町中を活性化させるためにも、今一度この酒場のもつ「語らい」の力を再発見できればと思い、僕と僕の趣旨に賛同してくれた方々はソレラの会を立ち上げました。

大阪の町中でのちょっと野心的な企画ではありますが、個人的には、大学を越えたところで、町中に生きる人とともにある知のあり方を模索する試みとして位置づけています。興味のある方は、ソレラの会のブログをご覧頂ければ幸いに思います。

(ソレラの会は、僕自身の本業に負担とならないよう、3~4ヶ月に一度会を開催するようにしています。参加費についてはこの10月以降、印刷代や飲み物代に必要となる分だけワンコイン500円を徴収する運びになりました。もちろん未成年者の参加は厳禁で、あくまでも知的な大人のための勉強会です。なお、この件につきましてはソレラの会のブログがございますので、僕自身の本業とのけじめをつけるためにも今後こちらの古谷のブログでは一切発言を控えたいと思います。)

2007年11月 6日 (火)

Bar Quintaのこと

ども。気がついてみれば、よしこんと比べられると二味ほど(おそらくマイナス気分にさせてしまう)後味の悪いブログを書き連ねている者です…(笑)。そんな気分の皆様がいらしたら、ぜひ一度足を運んでもらいたいお店をご紹介!もう、かっとび、本当に楽しい気分になってしまうお店です!

で、そちらは北新地に10月にオープンした「Bar Quinta」というお店!ここはスペインにあるバルテイストなお店で、北新地のスエヒロの裏手すぐにあります。こちらのお店は、バーアルテミスでバーテンダーをされていた萬川さんが独立されてオープンされたお店。北新地とはいえ、萬川さんの気さくなお人柄もあいまって、お店の雰囲気・照明ともに明るく入りやすくて、肩肘はらずにゆっくりと時間を過ごすことができる〜、ル〜、ル〜!

萬川さんといえば、スペインでヴェネンシアドールの修行をされ、その資格をお持ちであるということでその筋では知られていますが、こちらのQuintaは、とにかく様々な種類のシェリーが置かれています。そして、バルに見られるタパスが可能な限り北新地の地に実現されていて、いつ伺ってもおいしい一品料理が数多く用意されていて、その日の気分とお酒にあわせてあれやこれや注文できます。(さらにバルというからにはお酒を飲まずとも、例えば、コーヒーだけでもいけてしまう!)それでいて、おいしいお酒とお料理を頂いても、実に良心的な値段設定である点、これは特筆に値すべきことで、「気さくに楽しんでもらいたい」という萬川さんの心意気たるや、よし!

Quintaはいろいろな意味を込めてつけられた名前だそうですが、そのなかでも僕の記憶に残っている意味は、かつての四大元素説に立った場合、五番目に見出されるべき完璧・完全なものというもの。なるほど、イベリア半島で、錬金術で、蒸留で…そしてヘレスで、カディスで、大航海ってわけですか。ヘレスで、カディスで、大航海…なんだか、語呂が良いですね。かつては、スウェーデンから中国広州にむかった東インド会社の大船団も、必ずカディスに立ち寄って船荷を整えていきましたからね〜。シェリーとカディスがつなぐ世界…って、こんな話がさりげなくできてしまうのも、Quintaの懐の深さ。

もしコンパなどで使っちゃう3000円〜5000円くらいの軍資金があるならば、それをもってこのお店に繰り出し、スペイン風のバルの雰囲気を味わうのも良いのではないでしょうか。とはいえ、みなさん!居心地よく、食事もおいしく、楽しい気分に浸れるとはいっても、シェリーの飲み過ぎには注意です。なにせかつての大航海を支えたアルコール強化型ワインなのですから…大後悔しないようにね(自戒の念を込めて。)。

2007年3月14日 (水)

ヨッパライとフィッシュ&チップス

入試が終わったと思ったら、間髪入れず会議な日々が始まりました。今日は外部からいくつか仕事の話もあったのですが、なかでも「スウェーデン語で許可書のことをクルクルパーと言いますか?」という確認依頼がありました。クルクルパー…不覚ながら、日常的なスウェーデン語のなかで、こうした音をもつ言葉を僕は知りません。スウェーデン語にお詳しい方々にも確認しましたが、やはり同じ。で、その後、情報を募っていたら、どうやらお隣の…とは言っても、まったく言語の系統と構造が異なるフィンランド語では、通行許可のことをkulkulupaと言うそうですね。フィンランド語では、酔っぱらいのことも、juoppolalliと言うらしい。良い意味で脱力感のある仕事依頼でした。

この3月は送別会や慰労会が立て続けに入っているので出費を抑えねばならず、仕事もいろいろと抱えているものですから、個人的に飲む機会を減らしており、フィンランド語で言うところのヨッパライにはなっておりません…(笑)。が、今日はハッピーアワーな時間帯にちょっと時間が空いたので、『キース』へ伺ってみましたら、そこでとてもおいしいフィッシュ&チップスを頂きました。もとより僕は熱々のフィッシュ&チップスに、せっかくカラッと揚がっているのも顧みず、モルトビネガーを「これでもか!」というくらいたっぷりかけて頂くのが大好きなのです。だから、いろいろなところでフィッシュ&チップスを食べてきた経験があるのですが、今回のはピカイチでしたね。一般的なフィッシュ&チップスは、白身魚のなかでもタラなどを揚げてあるものでしょうが、山本さんのところ、今回はサワラをお使い。それは、それはとても肉厚で、そのボリューム感とジューシーさで僕の味覚は圧倒されました。サワラは、漢字で書くと「鰆」ってわけで、まさに春が旬な魚。粋な選択です。付け合わせのフライドポテトも、付け合わせと呼ぶには失礼なくらい、しっかりとした味のものでしたが、あのジャガイモはいったいなんだったんだろう?ファストフードなフィッシュ&チップスとは一線を画す、一品料理として独立したフィッシュ&チップスを、この大阪で頂けるとは誠に幸せです。ちょっとの時間滞在しただけで、今回も元気を頂きました。

2007年2月 5日 (月)

Le Sucre-Coeur

週末は家族とともに過ごしますが、昨日は吹田界隈をぶらついていました。小腹を空かせて、いきつけの某洋風ラーメン屋さんの吹田店で腹ごなしをし、帰りがけにぶらっととあるパン屋さんに入ってみたら…なんとそこは、大阪…というか関西でも一、二を争う有名店のLe Sucre-Coeurでした。(クロワッサンなど、特に有名。あえて説明の必要もない有名店でしょう。)

僕はこのお店の名前は知っていました。それは、行きつけのバー『キース』の山本さんがときたま、Le Sucre-Coeurのカンパーニュなどをふるまってくれていたからです。わざわざ岸辺まで出かけて買いに行く…貴重な代物なんですよっていう話を覚えていましたし、なにより、『キース』での経験から舌がこのお店のとても豊かな麦の風味を覚えていました。普段、パン屋さんはおろか、食べ物の話など全くしない僕なものですから、妻に「この店、知ってるよ」と伝えたら、驚かれるのなんの…。

このブログでも、だいぶ昔、大阪粉もの食文化論について一言発言したことがあったかと思います。そんな大阪の食文化に裏付けられて、僕は大阪にはおいしいパン屋さんが多いと思っているのですが、こちらのお店はそんな市井の粉もの文化とは一線を画す、普遍的なパン文化を代表するお店であることは間違いないと思います。

2007年1月 9日 (火)

ガンボ&オイスターバー

2日の発言で紹介した金沢駅近くのオイスターバー『ガンボ&オイスターバー』さんからコメントを頂きました。あらためまして、この発言でご紹介します。大阪でも、キタはNU茶屋町に、ミナミはなんばパークスに出店されているようです。

こちらのオイスターバー。とても清潔感のある店構えで、幼子を連れていってもとても親切に対応してくださり、居心地のよいお店です。牡蠣も1ピース400円ちょっとくらいの値段設定からで、ランチタイムなら2ピースから安くオーダーすることもでき、気軽に出入りできる感があります。先日の発言では肝心の牡蠣のことについて紹介していませんでしたが、その時々の仕入れの状況によって様々な産地の生牡蠣を食すことができます。僕が食べたときには、北海道の仙鳳趾と兵庫の室津のものをサーブしていただきました。生牡蠣と言えば、厚岸のものが有名ですが、水揚げ量も少ない仙鳳趾のものを入れてくださっているところなど、目利きは的確と感じました。

先日ご紹介したオイスタースタウトについては、僕の同郷の木内酒造さんから卸されているという情報を得ました。以前、水戸の京成デパートあたりに開発成功したオイスタースタウトを卸すといったような情報を得ていたのですが、どうやらその水戸のお店もガンボさんのようですね。大阪でも、金沢でも、そして故郷の水戸でも、僕が生活圏としている範囲でこうしたおいしい生牡蠣とオイスタースタウトを食すことができるようになっただなんて、信じられません。

ランチタイムに頂いたクラムチャウダーもおいしかったのですが、今度伺うときには、店名にもなっているガンボでも頂きましょう…あったかな?オクラが入ったブイヤベースとでも言えばいいのでしょうか…ルイジアナの代表的なケイジャン料理のことですよね?(>共立女子大学の太田和子先生に、もっとお話をうかがっておくべきでした。)職業病でしょうか…イングランドに、フランスに、カナダ(アケイディア)に、ルイジアナ…っと。このお店に行ってみたら、牡蠣の魅力に誘われて、近世・近代の「クレオール」な大西洋世界に思いをはせてしまいました。(そういえば、大阪外大の三原健一先生と飲んでいたときに、ルイジアナあたりのカントリー・ミュージックの話に及んで(…畏れ多くも、三原先生はその筋の大家でいらっしゃるのですが…)、バグパイプやフィドルの「アメリカ」的展開の話になった。「音楽の地政学」か…次のJTBの講義はこれでいこうか!面白そう。)

僕の好きなお店の条件は、想像力が刺激されることもあります。ここはそれがありますね。

(というか、このブログ、今年はグルメ情報満載になりそう。)

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