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2012年5月23日 (水)

ラップトップPCと決別する日〜MacとiPadとの統合環境の構築について

「僕たちはいつまでパソコンという道具を使い続けるのだろうか?」、「ナレッジワーカにとって、過去四半世紀にわたり絶対的に必要とされてきた道具も、いずれは時代の流れのなかで陶太されていくのではないか?」そうした茫漠とした思いを胸に秘めながら、東大西洋史研究室のクリオの会が刊行している『クリオ』26号に「西洋史研究者のためのスマートフォン活用入門〜ポスト・パーソナルコンピュータ時代の知的生産術」を執筆した。もちろん僕らのライティング環境において、その中核に位置する道具は今後もしばらくはパソコンのままだろう。実際に上記の拙稿もパソコンで執筆しているし。ただ、それを補完する外出時の道具として長年重宝してきたラップトップPCとは、そろそろ決別の日が近づいているのかも知れない。

外出先でのモーバイル環境において、ラップトップPCを代替するデヴァイスとして、iPadに代表されるタブレットデバイスの隆盛が著しい。(上記の拙稿で紹介した方法も、スマートフォンとタブレットデヴァイスに搭載されている基本OSはかわらないので、基本的にはタブレットデヴァイスに応用できる。)タブレットデヴァイスがラップトップPCを完全に代替するにあたって、それは実のところ、タブレットデヴァイスの入力方法が長文入力に適していないとか、ナレッジワーカに必要なアプリケーションが少ないとか…そのようなことが根本的にネックになるとは僕は思っていない。文字入力についてはBluetoothで無線接続させるキーボードでその機能を補完すればよいし(…僕はふだん書斎でも研究室でもAppleのWireless Keyboardを使っているのでIncaseのOrigami Workstationを使ったり、定評のあるリュードの折り畳みキーボードを使ったりしている…)、脚注などを挿入してしかるべき論文の体裁を整えるアプリケーションも今は数は少ないが、iPadならばすでにPagesがあるように、今後は増えていくことだろう。

両者が完全に代替されるにあたって最大の条件となるのは、ライティング環境の中核にあるパソコンとタブレットデヴァイスとの間の連携に壁がなくなり、完全に統合されたデスクトップ環境が実現されることにある…と僕は踏んでいる。現状で両者の連携は、iPadの場合、iTunesのようなアプリケーションを仲介させる必要があるが、それで両者をつなぎ合わせても両者の情報が同期されるだけ。こうしたアプリケーションを媒介させることなく、それぞれに表示された文字列などの情報を、相互にコピー&ペーストなどの操作を経てやり取りすることは難しい。(以下に紹介するPastebotのようなクリップボード拡張アプリを用いれば、iPadからMacへの文字列のコピーは可能だけれど。)

Screen_2

まずは、このスクリーンショット画像をご覧頂きたい。これは、僕が自宅でのライテング環境で中核に置いて使用しているMacの画像である。この画像から確認頂けるように、ようやくMac OSのデスクトップ上にiOSの作業環境を表示させ、Macで使っているキーボードをiPadにも共有させることで、Mac OSとiOSの作業環境を…シームレスとまではいかないが、交互に入れ替えて行うことができるようになった。この画像の右側に写っているアプリケーションは、iOS版のNorstedts engelska ordbok proである。日本における北欧語使用者にとって、北欧語の電子辞書は長年の夢であったものの、iOSやAndroid OSで動作する…情報に信頼のおけるしかるべき辞書アプリが販売されるようになったため、その夢は現実のものとなった。しかし驚くべきことに、MacOS Xの環境においてスタンドアローンで使用できる北欧語の辞書アプリケーションは、(…かつてのMacOS 9までのクラシック環境ならば存在したが…)存在していない。それゆえ勢い次の夢は、パソコンとiPadのようなタブレットデヴァイスを連携させ、両者の間に障壁のない統合されたデスクトップ環境を築くことにあった。これができれば、例えばiOSにしか用意されていない辞書アプリの文字列情報も、ライティング環境の中核にあるパソコン側で編集することができ、パソコンで執筆している文章の内容に活かすことができるからだ。

そうしたパソコンとタブレットデヴァイスとの間の壁が、今ようやく崩れようとしつつある。このスクリーンショットにみられるMacのデスクトップ上に表示されたiPadのデスクトップは、Reflectionというミラーリング・アプリケーションによって実現されている。MacとiPadが同じネットワーク下に接続されていれば、Mac側でこのアプリを起ちあげ、iPad側でAirPlayの機能を用いれば、iPadの環境をMacのデスクトップ上に再現できる。iPadで入力された情報がMacのデスクトップに反映されるのに一瞬のもたつきはあるが、個人的には十分な反応速度だ。もとより僕は自宅のライティング環境においてiPadにはキーボードを繋いで電子辞書専用のデヴァイスとして用いてきたが、この画像の右下に見えるType2Phoneというアプリケーションを使えば、MacにBluetoothで無線接続しているキーボードをiPadと共有できる。つまり従来、僕の書斎の机上には二つのキーボードが並んでいたのだが、これを一つにまとめることができるようになったのだ。(言語の切り替えについても、切り替えのショートカット設定をMacOSとType2Phoneで別々に設定すれば、それぞれMacの言語環境とiPadの言語環境を別々に切り替えることさえ、ひとつのキーボードでできてしまう。)

この画像の中央にあるアプリは、『Mac Fan』2012年6月号の「スペシャリストのMac」でも簡単に紹介されていたテキストエディタBywordである。このBywordにコピーした文字列は、(…試しに、Type2Phoneで言語環境をスウェーデン語に切り替え、iPadにあるNorstedtにスウェーデン語のårを入力して検索してみたが…)右側のReflectionでミラーリングしているiPad上のNorstedtの辞書にある文字情報をコピーして貼り込んだものである。これまでもPastebotのようなiOSのクリップボード拡張アプリを使えば、iPadからMacへ文字列のコピーは可能だったけれど、統合されたデスクトップ画面上でそれを行うことはできなかった。(逆に、MacからiPadへはDropCopyのようなアプリを使えば可能である。)そうしたことを思えば、ReflectionとType2Phoneの併用は統合されたデスクトップ環境の実現を格段に進化させたと言える。(ただし、まだMacとiPadの統合されたデスクトップ環境は完全なものではない。例えば、ポインティングデヴァイスの共有はないので、Mac側のマウスやタッチパッドでReflection上にミラー表示させたiPad側の文字列範囲を指定することはできない。)

僕たち人文系研究者のような不断に長文の執筆を求められるナレッジワーカにとって、パソコンがライテング環境の中核に位置づけられるのは今後もしばらくは変わらないと思う。このブログの発言は、書斎や研究室にあるパソコンを補完し、主にモーバイル環境で使用する道具についてのことだ。パソコンとタブレットデヴァイスとの間の壁が徐々に取り払われ、両者のデスクトップ環境が完全に統合された暁に、そうした補完用途で用いるラップトップPCとの決別の日が僕のもとには訪れるのだろう…と、Reflectionを導入して統合されたMacとiPadのデスクトップ画面を見ながら感じている。

(決別の日以降、はたしてラップトップPCが廃れるのかというとおそらくそのようなことはない。ラップトップPCは書斎や研究室などのライティング環境の中核に置かれることになろう。バッテリを搭載して単体で搬出できるラップトップPCは、通常の時は液晶モニタやプリンタなどの出力装置やキーボードやマウスなどの入力装置と接続させることで、書斎や研究室でのライティング環境を支え、必要な時には自宅内やキャンパス内で短距離移動して用いるような道具となろう。Thunderbolt DisplayとMacBook Airを組み合わせたライティング環境のように…Thunderbolt接続のような高速汎用データ伝送規格があれば、そのような環境は容易に実現できるのだから。)

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