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2010年1月29日 (金)

デジタル化時代の歴史地図

かつて山川出版社から公刊されている『世界史地図ソフト』のことを話題にしたことがある。あれは「詳説世界史B」にある歴史地図をそのまま図像ファイル化して網羅したCD-ROMであり、いわばもとよりあったアナログな地図をPC上での編集が可能な図像データへと変換したものに過ぎなかった。とはいえ、それでもPCを使って授業資料を作成する者にとっては有用性の高い画期的なソフトだった。

今日、僕の手元にスウェーデンのGleerups社が昨年公刊したDigitala historiska kartorが届いた。現物を一切見たことがないままで発注することには躊躇したが、実際に手元に届いたものの中味を見て、その出来のよさに驚かされた。この驚き、「久々に買い物で嗅覚が効いた!」という感じで心地よい。

スウェーデン語でDigitala historiska kartorという場合、(1)古地図をデジタルデータ化したものと、(2)山川の『世界史地図ソフト』のようにGymnasiumレベルの歴史の授業で使われる授業資料としての歴史地図をデジタルデータ化したものとに別れる。ここで紹介するものは(2)のものだ。版権の問題もあろうからブログ上でこの地図を公開することを控えるけれども、ホモ・サピエンスの生活圏拡大から、ヨーロッパ統合の進展(EUだけでなくEFTAも扱われているところがやはり北欧産だ!)やユーゴ紛争(デイトン合意後のC.ビルトの活躍をみればやはりスウェーデン産だ!)あたりまで、60強の地図データがパワーポイントのファイルで作成されている。

歴史地図がパワーポイントで作成されているというところがこのCD-ROMのミソ。パワーポイントであればこそスライド&アニメーション処理でもって、同一地図の上に複数の地理情報を重ね、それを動かすことで地図に見られる歴史事象の「動態」的変遷を視覚化して伝えることができる。例えば、"Homo sapiens spridning"と題されたファイルを見ると、例のアフリカ大陸の大地溝帯あたりくらいから始まって1万年ほど前に南アメリカ大陸へと至るホモ・サピエンスの生活圏拡張の様子が、8枚にわたるパワーポイントのスライドで段階をおって示されている。

北欧史関連で嬉しかったのは、バイキング活動の様子と近世スウェーデンのバルト海世界における広域支配圏の変遷の様子を示したスライドの出来だ。とりわけ前者は、ノルウェー・デンマーク・スウェーデンそれぞれを故地としたバイキング活動の地理的展開が示されており、これほど理解しやすいバイキング活動の地図を僕は見たことがない。

おそらく我が国でも志の高い高校・予備校の地歴科の先生方によっては、個人的にパワーポイントを使って上記のような歴史事象の地理的変遷に関する「動態的」理解を目的とした授業資料を作成されていらっしゃるかも知れない。しかし、こうしたファイルを作成するには相応の負担と実力が必要となるから、日本全国の先生と学生にあまねく行き渡っているものではないだろう。教育においてそれを講ずる側、受ける側、それぞれに格差がうまれる可能性はなるべく減らされねばならないと思うとき、もしこのような授業資料が一般頒布され、日本全国で世界史を教える先生と世界史を学ぶ生徒のみんなに行き渡ったら、どんなに有意義なことだろうかと僕は考える。

さらに僕は、先日発表されたiPadのような比較的安価なタブレット・デヴァイスを電子ノートや電子教科書として機能させるような教育手法の革新が到来する日をも夢見つつ、そうしたものに載せるべき教育効果の高いコンテンツとして、このスウェーデン語によるDigitala historiska kartorを眺めている。

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