最近のトラックバック

2020年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

« 「1学期」が終わった | トップページ | Twitterの効用 »

2009年9月20日 (日)

スウェーデン旗が泣いている

Img_0538_2“シルバーウィーク(…そんな言葉はいつできた?…)”二日目。昨日、突然ブラックアウトを起こしたMacBook Pro(…使い始めてはや二年。グラフィックボードの不具合からリコール対象になっている型番を今まで使っていたが、よくここまで無問題だったと思う…)をApple Store 心斎橋へ修理依頼するついでに、家族とともにIKEA鶴浜へ行った。家族一同、久方ぶりにスウェーデンの食と酒にありつこうと意気投合したからだ。

IKEA鶴浜のレストランについては、以前このブログで苦言を呈したことがある。スウェーデン風ミートボールの「スウェーデン風」たる所以の苔桃のジャムが添えられていなかったという問題である。まずはIKEA鶴浜の名誉のために(…今回は「ジャム、大盛りで!」とあらかじめ伝えたこともあるが…)スウェーデン風ミートボールについて、今はきちんと苔桃のジャムも添えられるようになったことを、ここで明言しておく。これはよかった。(とはいえ、子供むけのミートボールには、やはりこちらが言わなければジャムを添えてもらえなかった。)

僕の公的な肩書き上、発言の影響力に鑑みてあまりスウェーデンのことについてとやかく言うべきではないと思っているが、しかしまた…ミートボールとは別にIKEA鶴浜で落胆させられることがあったので、今回は一言そのことについて書いておきたい。

実は今日のIKEA鶴浜への訪問では、一つ確認してみたいことがあった。先日行きつけのバーのマスターからうかがった「IKEA鶴浜に訪れてみたもののスウェーデンの酒が売られていなかった。」という話である。そして今日、事実そうであることを確認した。いや、より正確に言うならば、会計を出た場所にあるスウェーデン食材の売店では、かろうじてアクアヴィットと…どうみても去冬の余り物としか見えないグレッグ(スウェーデン風のホットワインの原酒)が売られていることは確認した。(あろうことか、スウェーデンは全く生産することのできないワインが堂々と売られている始末…どうしてくれようぞ!)

しかしながら、スウェーデンの酒文化を考える上でとても大切な位置を占めるビールが…ようやくIKEAが本格的に日本に展開することで日本人が味わえるようになったスウェーデン・ビールが、その姿を完全に消していた。世界的に著名な酒評論家のマイケル・ジャクソンがかつて指摘していたように、ヨーロッパ統合の進展とともにEU諸国のビール市場では、例えばデンマークのカールスベアのような大手企業による寡占が進行するなかで(…EUの生産基準は、かの有名なドイツのビール純粋令まで廃止に追い込んだ…)、システム・ボラ−ゲットが国内の酒市場を保護する結果となったスウェーデンにおいては、地方で生産される個性豊かなビールに接することができる。スウェーデンのシステム・ボラ−ゲットの小売店で目の当たりにするスウェーデン・ビールの豊富さは、一見過度な中央集権に見えるスウェーデンの国家政策が実のところ地方社会の多様性を大切にする上で成り立っていることを感じさせてくれる良い例証である。

ようやく昨年来日本ではIKEAによってのみ並行輸入されるようになったスウェーデン・ビールは、(…それでもスウェーデンで大手のスペンドルップのものに限られてはいたが…)そうしたスウェーデンの雰囲気を日本にいながらにして知ることのできる大切な資料だった。ところが、今はその姿をIKEA鶴浜で見ることができない。集中講義の疲れを癒すという目的でスウェーデン・ビールを楽しみにしていた僕の落胆は大きかった。しかも、この写真にあるように唯一IKEA鶴浜で飲むことができるビールは…あろうことか…サッポロの黒ラベル。もちろんサッポロの黒ラベルが良くできた日本を代表するビールであることは知っている。僕も大好きな銘柄の一つだ。しかし、ここは大阪である。大阪という土地を知る者ならば、大阪麦酒会社に起源をもつアサヒ・ビールを選ぶのが常識だろうと思う。

ここまでは感情に流されるままに一方的な発言をしたためてきたが、冷静になってみるならば、IKEA鶴浜…というよりはIKEA日本に、スウェーデン・ビールの並行輸入に関するなんらかの問題があったのかも知れない。そもそも日本へ世界の酒が輸入される場合には酒造会社やその関連会社と契約を結んだ代理店が行うのが常だが、スウェーデンの酒の場合、スウェーデンにおける酒の仲買・小売を支配しているシステム・ボラ−ゲットと日本の代理店が直接契約を結べないなんらかの事情があるのかも知れない。(デンマークならば、例えばアクアヴィットやビールを生産している会社と日本の輸入代理店が直接契約して、輸入されることはよくなされている。)それゆえ、これまでもスウェーデンの酒は、日本の小売店に並ぶことは全くなく、もし見かけたとしても、それは代理店を通さない「個人」的な並行輸入の結果だった。昨年のIKEA日本によるビール扱いもそうした類のものだったのかも知れない。百歩譲ってそうした輸入システムの問題があると想定したとしても、今でもなおIKEAではスウェーデンのアクアヴィットやグレッグが売られているのだから、「なぜビールだけが?」と腑に落ちない点が残る。

まさか「日本人の口にはスウェーデンのビールはあわないから…。」などという理由で、かのスペンドルップのビールが排斥されたわけではなかろう。これはIKEA鶴浜だけの話なのだろうか?なぜビールだけ?(実際には国際企業化しているけれども…)スウェーデン的雰囲気を「売り」にしているIKEAなればこそ、そうした点の説明を是非聞いてみたいものである。かつてスウェーデンは「北斗七星の下の国」と呼ばれたが、(サッポロ・ビールに描かれた)北海道開拓使のシンボルである北辰星(北極星)の下では、ミートボールに翻るスウェーデンの旗が僕には不憫に思えてならないので…。

« 「1学期」が終わった | トップページ | Twitterの効用 »

コメント

横浜にあるIKEA港北店には、Spendrups社のOld Goldが置かれていたので、輸入システムの問題ではないようです。
IKEA鶴浜店の方針なのでしょうか。
ブログの更新を楽しみにしています。特に、お酒と文系のためのパソコン情報にはいつも感謝です。

西洋史大学院生さん、貴重な情報をありがとう!連休も終わりにさしかかり、僕もあらためてIKEAポートアイランド(神戸)まで行って確認してこようかと思っていたところです。(IKEAポートアイランドは、この連休中にスウェーデンフェアとかやっていて、真摯にスウェーデンを伝えようとしているあたり良いです。)やはりIKEA港北にはOld Goldがありましたか。となるとIKEA鶴浜の問題ということですね。IKEA鶴浜に「そもそも「IKEA」を語らせるのはどうか?」ということになってくる…そこまでオーバーな問題ではないか(笑)。IKEA鶴浜が何も説明をしない以上、消費者は同じIKEAでもIKEA鶴浜だけがちょっとおかしいことを知っておくべきだろうね。「これがスウェーデンね!」って期待しながら、観光バスを使ってやってくるお客さんや、(大阪の場合)遠く九州や四国のほうからやってくるお客さんが、なんとなく不憫に思います。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: スウェーデン旗が泣いている:

« 「1学期」が終わった | トップページ | Twitterの効用 »