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2009年3月 1日 (日)

アクアヴィットとインベンションの試み

本来なら国際シンポジウム(とりわけワークショップ…東京からも多くの方々にお越し頂き貴重なコメントを頂いたので…)へのコメントを書くべき所だけれども、この2月半ば以来、睡眠時間もろくにとれない生活が続いている。それは3月に入っても同じことで、休む暇もなく今も今週に抱えた北海道大学での研究報告の準備中。ここ数日は、身体の各所がパンパンに張っている…ような感じがする。

それでも昨日は一つ大きな仕事をやり終えた後、「よくやった」と自分で自分を褒めるべく、行きつけのバー「キース」に立ち寄った。バーテンダーの山本さんは僕にとっては『美味しんぼ』の岡星にあたる方で、創意工夫に満ちた仕事ぶりに(…そしてときには相談相手としても…)信頼を寄せている。昨晩はスウェーデンのアクアヴィットO.P.Anderssonが入ったということで、久しぶりにそれを頂くことにした。けれども、なにせこちらはハードワークが続いて疲弊しきった身体状態。アクアビットの飲酒スタイルはストレートが基本だけれども、こんな体調でアルコール度数40%をストレートで頂くのはさすがに毒だ。そこで昨晩は、アクアヴィットをベースとした飲み方に創意工夫を凝らしてもらった。

アクアヴィットといってもその種類は実に多種多様。一般的にはジャガイモを原料とした蒸留酒と言われるが、現在ではジャガイモだけではなくトウモロコシ・ベースのものもあり(…スウェーデンでも、デンマークでも、主原料が記載されていない場合が多いが、ここが一つ目の企業秘密的な部分になっている…)、さらにその銘柄はそれぞれの香り付けに用いられている香辛料の種類や調合の割合によって香味も様々である。スウェーデンで最もポピュラーなアクアヴィットの銘柄の一つO.P.Anderssonの場合、キャラウェイ、アニス、フェンネルが用いられている。ジャガイモ(ないしはトウモロコシ)を蒸留した際の土臭さを和らげ、身体にも好影響を与える香辛料のバリエーション(…ここが二つ目の企業秘密的な部分になっている…)こそが、実のところ、アクアヴィットのそれぞれの銘柄を楽しむ醍醐味と言える。例えば、世界で最もポピュラーなデンマークのAalborg Taffel Akvavitならばキャラウェイ主体の香り付けなので比較的飲みやすいが、これがスウェーデンのO.P.Anderssonになるとフェンネルが加わってくるために胃薬のような香りがどうしても強くなってしまう。もしアクアヴィットの味が土臭いと感じる人がいるとするならば、それはそうした香辛料による香味の反作用だと思う。

昨晩のキースのカウンタにおける創作の試みは、ジンベースのカクテルを代用することからはじまった。というのも、アクアヴィットは、フレーバード・ウォッカを別とすれば基本的に香り付けされることのないウォッカというより、セイヨウネズの松かさを用いて香り付けをしているジンと味と香りの性格が似ていると考えたためである。肉体疲労時にトニック・ウォータを頂くのはヨーロッパの食文化の知恵…ということで(笑)、まずはジン・トニックを代用することからはじめた。これは、個人的にはアクアヴィットの香味とトニック・ウォータの香味(…トニック・ウォータはただの炭酸水とは香料が添加されている点で異なる…)、さらにはライムの香味が三者三様にぶつかり合って、錫杯のなかでコンフリクトが起きているように感じた。

次に日本が誇るカクテルである水割りを試すことにした。おそらくただ水で割ったとしたら、アクアビット独特の土臭い香味だけが強調される結果に終わったことだろう。そこは山本さんの経験と勘が活かされ、彼はとっさに蜂蜜を混ぜた上で水割りを作って下さった。結果、これはスーゥッと胃袋に入っていく、とても飲みやすいものに仕上がった。ただし蜂蜜の香も味もアクアヴィットの香味に打ち消されており、あくまでも味はアクアヴィットそのままであったから、アクアヴィットの独特な香味が苦手な人には無理な代物だろう。

結果、昨晩のシメは、いつものようにデーニッシュ・メアリに落ち着いた。デーニッシュ・メアリとは、本来ウォッカとトマト・ジュースでつくられるブラッディ・メアリを、アクアヴィットに代えてつくるものある。幼い頃より僕は無類のトマト・ジュース好きということもあるけれど、僕はシメにブラッディ・メアリを注文することが多い。そもそもブラッディ・メアリは店によっては塩やコショウ、ときにはソースやタバスコなどを加えることもあって、夕方の仕事帰りに腹を空かせた身からすると一種の冷製スープのように思えるカクテルであるからだ。バーテンダの創意と工夫によっては、ブラッディ・メアリにセロリやニンジンなどを加えるところもあるだろう。ことほど左様にブラッディ・メアリは味と香りの調整を楽しむことができるカクテルだから、ジン・ベースならブラッディ・サム、ビール・ベースならレッド・アイ…といったように様々なヴァリエーションがある。アクアヴィットをベースとしたデーニッシュ・メアリも然り。お腹を空かせたアクアヴィット好きにはたまらない極上の冷製スープを頂くといった感じだ。デーニッシュ・メアリの場合には、香草類の性格が強いので、レモングラスやコブミカンの葉などを用いるトムヤンスープのような感覚に近い。

そうしたアクアヴィットをめぐる創造の試みは、仕事で疲れた僕の灰色の脳細胞に再び想像力の喝を与える。キースで頂く一品料理もまた格別だけれども、いずれ貝が入る機会があったら、ブラッディ・メアリに貝のエキスを加えるブラッディ・シーザーのアクアヴィット版を試してもらおう。ここまでくると本当にスープのようだ。

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コメント

私もトマトジュース大好きですよ〜レモンを絞ってさっぱりも良し、タバスコをでスパイシーに仕上げても良し、本当に美味しい飲み物だと思います。
最近はこだわりのトマトを使って作られたトマトジュースもあって、喜ばしい限りです。
以前は塩入りが主流でしたが、やはりトマト自体の美味しさを存分にという観点からか、無塩タイプのものが目立ちますよね。

日頃カクテルなんてお洒落な飲み物を飲み慣れない私にとって、レッドアイやブラッディメアリーはバーでの定番ですね。
しかも色がかわいい〜素敵なバーで女性が飲むにはビジュアル的にもイケてますよね。ピンクレディなんかも確かに女性向きですが、なんせショートなんで、「かわいい」の存在時間が短かすぎなんです。(これは私に問題ありなんでしょうか?!)

先生がおっしゃるようにもう単なる飲み物を越えたスープだという意見にもうなずけます。
ガ゙スパチョはその代表格じゃないでしょうか。ある有名スペインバルのマスターM氏に伺ったところ、ガスパチョをもっと濃厚にしたサルモレホ?なるものがあるそうで、お酒のアテにぴったりだとか。是非とも試してみたいものです。

私は先生が飲まれた企業秘密満載のお酒を飲んだことがないので、チャンスがあれば挑戦してみますねー!

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