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2009年2月

2009年2月22日 (日)

白髪化の進行

一昨日の深夜、大友直人さんの指揮、京都市交響楽団の演奏で、千住明さん作曲の詩篇交響曲『源氏物語』の映像をNHKで見た。個人的に最近「源氏物語」にはまっていることもあって、「これはあの場面だねぇ…光源氏はこう思ったことだろうよ。」などとよしこんと語らいながら見ていた。(…青空文庫では与謝野晶子版が無料で読めるのだけれども…なんですなぁ、それぞれの帖の冒頭にある歌、はっきりいって不要…じゃない?それに比べると、詩篇交響曲『源氏物語』の作詞は、かの松本隆さんなのだけれども、それはとてもわかりやすく、僕のような不粋な男が情景を思い浮かべられるほどだから、よくできた詞だった…と思う。)で、個人的に目にとまったのは大友さんの御髪。古谷家では白髪交じりの人がテレビに映し出されると「僕とどっちが白い?」という問いかけが定番になっている。僕自身、自分の頭がどれだけ白髪が増えているか、客観的に判断できないので、映像で映し出される人は一つの鏡みたいなもの。よしこんによれば、今の僕の白髪の度合いは、どうやら一昨日の深夜に映し出された大友さんくらいらしい…(汗)。ビールに含まれるホップ成分が白髪化に関与する遺伝子を制御する効果があるという資生堂・キリンビールの研究開発部の発表を聞いて以来、密かにホップ成分の積極的自己摂取(…汗)に努めてきたけれど、顔は赤くなれども、髪は白くなるばかり…挙げ句の果てには、先日のゼミの打ち上げコンパの際に、世話になった店で同席したお客さんから「先生、50代ですか?」と指摘される始末。そんな劇的に白髪化の進行している37歳の明日はどっちだ?というわけでシンポジウム、ちょいとやってきます。

2009年2月20日 (金)

私的デンマーク語の夜明け

image1590613921.jpg
国際シンポの前夜、準備で頭がウニになる寸前なので、気分転換にiPhoneから発言。(iPhoneだけで、写真の加工から、テキスト入力まで…ここまでできちゃう!)私的に待望のiPhone用のデンマーク語・英語辞書がPolitikenからリリースされた。このリストでいくと、上列左から2番目のアイコン。(ちなみにその左隣は、スウェーデン語・英語辞書のLexikon。)

Politikenは有料版もあるらしいがまだ買えず、これは無料版。スウェーデン語のLexikonとは違い、文法事項まで丁寧な情報はでてこないが、それでも日常用途では使える。なにせ、しかるべき内容をもったデンマーク語の電子辞書としては、iPhoneではこれが初めて。iPhone OS上のものなので、デンマーク語の特殊文字の入力も、表記もなんら問題ない!(ただしiDicで使えるEPWING形式では、Gyldendalの赤辞書はあった。)この辞書の長所は、PolitikenだからPolitikenのポータルサイトに接続されて、デンマークのニュースなどがリアルタイムで閲覧できたりするところ。

ここで一つ説明を補足しておくと、iPhoneで使える電子辞書の場合、辞書のコンテンツまで収録されオフラインで使えるものと、辞書の検索コンソールのみインストールされサーバにある辞書のコンテンツをオンラインで検索するものと二つある。この画面でお見せする最上段右から二つ目のiDicというソフトの場合には、EPWING形式の辞書コンテンツをiPhoneにインストールしているのでオフラインでも使える。これに対して、LexikonやPolitikenは後者だからオンライン接続が前提で、このブログでは何度も言うようにパケット定額制が適用されていることが必須となる。日本国内で使用する際には問題ないだろうが、例えば、スウェーデンやデンマークなど海外で使用する場合には、Softbankの海外ローミングサービスではパケット定額制が適用されず通信料が高額になるから、決して使ってはならない。学生諸君でiPhoneの導入を検討している人がいたら、その点は肝に銘ずるべきだ!(そういう場合の対応策として、僕はオフライン検索のできるiDicを重用している。)

この画面には、他にも二段目左から二つ目、三つ目にあるHistory Map of WorldやHistory Map of Europe(→Putzger Historischer Weltatlasとまではいかないけれど、「あの頃、あの都市、あの地域はどうだったっけ?」を出先で確認するには便利)、三段目右から二つ目にあるRoman(→これはローマ数字による年号変換ソフト)など、歴史学に携わる者が日常的に重宝しそうなiPhone用のソフトウェアが映っている。ここまで短期間にiPhone用の便利なソフトウェアが揃ってくると、iPhoneの規格が世界標準であることの「威力」を思い知らされる。そして、たぶん…もう他の携帯電話には戻ることはできない…と思う。

2009年2月19日 (木)

“知”の汗流せ〜♪

阪大世界言語研究センター主宰の国際シンポジウムを控え、準備も佳境を迎えつつある。もちろん年度末の諸々の仕事を抱えながらだから、相当ドタバタとしている。まさに“血”ならぬ“知”の汗を流す状況が続いている。そんななか、今日は思わずMacBook Airを落としてしまった。筐体がボコッとへこんだ。外装交換にはウン万円(…ちょっと高級なネットブックPCが買えるくらい…)かかるという。正直、精神的にへこみつつ報告原稿を執筆していたら、Youtubeでとてもすばらしい動画に巡り会った。僕の好きなショパンの3番ソナタとスポ根の頂点をともに結びつけ、このような風に自由闊達にアレンジできる人は粋だと思う。涙を拭いている暇なんてない。今は、「MacBook Airが身代わりになってくれ、悪運も振り払われた!」と例によっての楽天主義。ピアニート公爵様、ありがとう。僕は力をもらった!

       

(えっとですね…「ショパンの原曲がわからないので、巨人の星にしか聞こえない!」というとんでもない指摘をもらったので、比較のために、ポゴレリッチの若かりし頃の演奏で3番ソナタの4楽章をつけておきます…お隣のポゴ様マニアな先生に敬意を表しつつ…。)

2009年2月16日 (月)

バルト・スカンディナヴィア研究会関西支部第一回例会

立春の候、皆様におかれましては益々ご繁栄のこととお喜び申し上げます。平素は一方ならぬお力添えにあずかり、誠にありがとうございます。さて、このたびバルト・スカンディナヴィア研究会は皆様からのご支援をうけ、関西圏における益々の北欧研究の発展を目的として関西支部を発足させる運びとなりました。ここに、その第一回例会に関しましてご案内をいたします。関心のある皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

なお関西支部の立ち上げを記念するキックオフ企画として、20092月22日〜23日に大阪大学世界言語研究センター主宰で開催されます国際シンポジウム:「コトバの活断層~「民族」認識の座標軸」の一企画として、ワークショップ「アイデンティティの座標ともう一つの文明の分水嶺」が、東欧史研究会の協力も得まして2月23日(月)午後2時以降、千里中央ライフサイエンスセンター5階ライフサイエンスセンターホールで開催されます。第一回例会は、この企画を受けて開催されるものです。今後ともご支援、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

大阪大学世界言語研究センター 准教授 古谷大輔

日時:2009223日(月)午後530分頃〜(上記ワークショップ終了次第)

会場:千里中央ライフサイエンスセンター6階 602会議室

アクセス:地下鉄(北大阪急行電鉄)千里中央駅北出口すぐ)ライフサイエンスセンターのホームページをご覧下さい。

(1)バルト研関西支部発足の趣意と活動内容について

(2)「アイデンティティの座標ともう一つの文明の分水嶺」における古谷大輔報告(スウェーデン)・小森宏美報告(エストニア)への北欧研究から見た総括

連絡先:阪大世界言語研究センター古谷研究室(このブログのプロフィールからご連絡ください。)

2009年2月15日 (日)

高解像度の作業空間

今、国際シンポジウムの原稿と別に寄稿せねばならない複数の論文を同時に執筆している。今時の大学はどこでも自分の研究以外の仕事を求められるのは普通だろうから、僕が抱えている仕事がとりわけ多いとも思わない。なんくるないさ〜、こんなものだろう。もとより落ち着きがなく、あっちこっちの話に面白がって首を突っ込む性分だから、僕の仕事はマルチタスクな進行が普通。昔懐かしい『パーマン』に登場するコピーロボットがあれば…なんて非現実的なことは言わず、限られたこの身体をフルに活用せざるを得ない。

身体の潜在力を引き出すためには実のところ良い道具が必要だと僕は思っていて、今はこの正月に修理から返ってきたiMacに助けられている。とりわけラップトップPCよりも高解像度である点。複数のアプリケーションを判読可能な文字の大きさで起動させられる環境は、マルチタスクな仕事をこなす上で必須条件だ。年度末だからだろう…最近、いろいろな人にパソコン選定の助言を求められるたが、ナレッジワーカな方々には、まず僕の経験から言って高解像度の液晶をもっているということを第一の選定条件として薦める。もちろん値段相応の話だけれども、もしお金に余裕があるならば、解像度の低いネットブックは仕事効率があがらないだろうから薦めることはしていない。

試みに、今のiMacのスクリーンショットをここで公開しよう。ここでご覧頂くiMacの画面には、左上に一太郎2009、右下にNorstedtのスウェーデン語辞書(瑞英・英瑞・瑞瑞・SAOL)と右上にCotEditorというテキストエディタが同時に立ち上がっている。このデスクトップ画面では、某誌に投稿予定の論文執筆に関わる三つのウィンドウが開かれているが、MacOS XにあるSpacesという仮想デスクトップ機能を用いて、別のデスクトップには国際シンポジウム関連のテキストが開かれている。そうしたように、僕は今書きかけの文書のテーマによって仮想デスクトップの画面を複数使い分けている。

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ここでご覧頂いている二つのソフトウェアは本来Windowsでしか動作しない。しかしParallels Desktopというエミュレータを用い、Windows Vistaのインターフェースを隠してしまうことでほぼMacのソフトウェアとかわらない感覚でMacOS上で使用することができる。この画面にあるCotEditorは下書き用で用いているテキストエディタだが、これを清書する際には一太郎へとコピー&ペーストする。Parallelsが進化した結果、クリップボードを経由するMacとWindowsの往来も問題なく使えるようになった。それぞれのソフトウェアのウィンドウの移動や拡大・縮小も、iMacの画像処理能力ならば快適に実行される。

文書編集用のソフトウェアと言えば、MacにもWord2008があり、Wordがデファクトスタンダードであることはわかっているのだけれども、日本語を主体に複数言語を交えた長文の文書を作成するとバグが発生することがある。例えば、日本語を主体としてスウェーデン語による脚注情報を加えた論文を書く場合、原稿用紙にして60枚以上くらいの分量になると高い確率で落ちる。これはどうしようもなく不便な…あるいは日本語とスウェーデン語を併用するナレッジワーカには致命的な問題だけれども、そのような人が数少ないためだろうか、いっこうに修正される気配はない。

日本語を主体とした文書編集を考えた場合、僕はMacユーザとなった今でも一太郎とATOKの組み合わせが理想的だと思っている。行数や字数を確定させつつ、フリーカーソルモードで日本語の文章を編集できる一太郎の編集機能の高さは、ここであえて言うまでもないだろう。とりわけ最新のATOK2009は、日本語と英語を常用する者にとってはますます便利になっている。ATOKは2009になって、英語入力の支援機能が相当強化された。これは外部の英和辞書との連携というのではなく、ATOK自体が持っている変換機能を拡張し、英単語を一部入力するだけで推測変換されるといった機能だ。(英語入力モードと言う。)さらにもし英単語が思い浮かばなくても、日本語で入力するとそれに対応する英単語が変換される機能も加わった。これらの機能はMac用のATOK2008では実装されていない機能だし、Wordは動作が重く不安定だから、勢い一太郎を使ってしまう。ただ…これはWindowsだから仕方がないのだけれども、表示フォントの荒さだけはどうしようもなく汚い。

さてさて気分転換もここまで。高解像度の作業空間に再び没入だ。

2009年2月14日 (土)

道具を大切に使う理由

昨日Amazonを眺めていたら今時のSerialATA規格の2.5インチHDDが格安即納状態だったので、急遽それを購入して昨年秋に突然壊れたMacBook(2006年初夏の初代モデル)を修理した。Amazonプライムは在庫さえあれば即日発送される点、「思い立ったが吉日」の気分を萎えさせることがないので、僕のような浮気性の人間には実にすばらしい存在だ。そして道具の修理は、休日返上で仕事をしている自分には、よい気分転換になった。

今回はHDDがクラッシュしたので、それを交換すればよい。WesternDigital製のHDDに数千円出費するだけで、今は何事もなかったかのようにMacOS X Leopardが動いている。今回の修理のきっかけは、来月以降のウップサーラ滞在で持参するラップトップをどうしようか…と悩んだ結果の僕なりの回答でもある。多少古いものでも、修理すれば十分に使える。数年ものの古いものなら、海外で不測の事態に直面したとしても納得できよう。ウップサーラから帰国してそれでも順調なら、しばらくは箕面の研究室で使い続けようとさえ今は目論んでいる。

(自分でも信じられないことだが、僕の研究室にはまともに動作するPCが常置されていない。これは普段研究室に腰を落ち着ける時間がほとんどないので、常に携帯可能なPCに仕事を依存している結果だ。)

今回の修理にあたって、初代MacBookはおそらく公表されていないだけでたくさんの問題を抱えている機種なのだろうなという思いを強めた。これまでもバッテリの不良、パームレストの断裂と二度サポートセンターの世話になっている。今回は当初HDDを交換するだけの作業だったのだが、その過程で、HDDを支えるゴム製のスリット(レール)部分が本体内部で「もげ」ていることを発見した。これではうまくHDDユニットが基盤に接続されない。今回の修理で、このゴム部品がないとHDDは本体のなかで浮き上がってしまう構造だということをはじめて知ったのだが、このゴム部品自体の接着面は大変少なく、どうみても経年劣化すれば簡単に「もげ」落ちてしまうのではないかと思った。今回はそのレール部分を両面テープで接着させて対応したが、思うに、今売られているアルミニウム・ユニボディのMacBookは、そうした内部構造上の不具合も解消させた一つの完成型なのだろう。

果たして、そんな多くの問題を抱えている初代MacBookに、僕が修理を施して大切に使おうという思いは伝わるだろうか?そもそも道具に思いを伝えるなんていう発想が日本人的すぎるのかも知れないけれども、2006年の初夏にIntelプロセッサが搭載されたMacBookを購入したとき、僕は「こんなすばらしい道具ならどんなにかすばらしい仕事ができるだろう!」と心躍る感覚を得たのは事実。しかし、そのときの思いを成就できたという感覚はいまだなく、今度のウップサーラ滞在で少しづつその感覚に近づきたいと思っている。僕はそれぞれの道具を買ったときの思いを忘れないために、その思いを込めて古い道具を修理して大切に使っている…ということになろうか。

2009年2月 4日 (水)

国際シンポジウム『コトバの活断層〜「民族」認識の座標軸』

「僕の明日はどっちだ…」つながりで、僕のかかわるもう一つの国際シンポジウムについて、こちらも紹介しておきます。この2月22日(日)、23日(月)に千里中央ライフサイエンスセンターで、阪大世界言語研究センターが進めている「民族紛争の背景に関する地政学的研究」の国際シンポジウム『コトバの活断層〜「民族」認識の座標軸』が開催されます。関心のある方は、是非ご参加ください。

こちらで僕は、23日(月)午後のワークショップ『アイデンティティの座標ともう一つの文明の分水嶺』で、問題提起、事例報告、総括を務めます。詳細は以下のフライヤーをご覧頂きたいのですが、このワークショップについては、バルト・スカンディナヴィア研究会と東欧史研究会の協力を得まして、バルト海からアドリア海・黒海をつなぐ南北の軸で、例えば、地域における独特な自然認識などに着目しつつ、「市民社会」だとか、「資本主義」だとかいった「西欧」に起源をもつ言説との距離感で設定されてきた「北欧」だとか、「東欧」だとかいった地域概念の措定を解放してみようとしています。まぁ、バルト研と東欧史研の連携の先駆けとして、バルト海・アドリア海・黒海で挟まれた地域を総体的にとらえる試みの先駆けとして、楽しくできたらなぁと思っています。え、「そんなのできんのか?」って…なんくるないさ〜っす。

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シンポジウム『着衣する身体の政治学』

明日からこんな企画が神戸で開催されます。関心があればどうぞ。僕は明日のシンポジウムのみコメンテータ…僕の明日はどっちだ。なんくるないさ〜。(下の画像をクリックすると、派手に拡大されます…(汗)。)

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2009年2月 2日 (月)

普通の国としてのスウェーデン

この間、ラテンアメリカ文学を研究している同僚と飲んでいたときに、僕があまり日本で知られていることのないスウェーデンの本当はこわ〜い話をしていたら、メキシコのプロレスを語らせたら右に出る者のいない彼はプロレス用語の「ヒール」を使って僕を「ヒールだ。」と言ってくれた。「ヒール」は本心からヒールなのではなく、一つの虚構のなかでそれを演じるのだから…そうした配慮まで込められたありがたい言葉だ。日本ではスウェーデンを含めて「北欧万歳」的なイメージがいまだに強いのだけれども、少なくとも我が国唯一のデンマーク語専攻とスウェーデン語専攻を擁する大阪大学は異なる。スウェーデンやデンマークの良いところも、悪いところも客観的に討究し、その成果をもって教育する。日本における「北欧礼賛」の風潮からすれば、ときにはヒールを演じることも辞さない。先週で今年度の北欧史の講義も大団円を迎えたが、例えばスウェーデンが第二次スレースヴィ戦争(いわゆるシュレスヴィッヒ・ホルシュタイン戦争)で「兄弟民族」デンマークを見捨てたこと、例えばスウェーデンが第二次世界大戦でノルウェー占領へむかうナチス・ドイツの軍隊に鉄道通過を認めたこと…北欧に対して淡い希望をもって入学してきた学生たちには、いささかショックな話ばかりだったろう。しかし、それも小国として主権国家体制に生きる道を模索するが故の話…スウェーデンもまたそういう意味では普通の国なのだ。

スウェーデンは一時期のスウェーデン人たちによってキリスト教世界におけるユートピアとして理想化されていたことは事実だが、もちろん実際にはユートピアなどではなかった。スウェーデンもまた様々な問題を抱える普通の国なのである。そしてそれは今もなおの話。かつてはヨーロッパ世界でも最貧国の一つであったスウェーデンはたまたま第二次大戦で中立を維持し、民間の社会経済セクターが温存されたため、第二次大戦後のヨーロッパ復興の過程で製造業の好調な輸出実績を踏み台として高負担・高福祉の体制を築き上げた。スウェーデンはかつては移民を多数アメリカなどへ送り出す国だったが、その時期以降は南欧・東欧・中東・ラテンアメリカなどからの移民を受け入れる国へと転換した。東西両陣営とも一定の距離を保ったスウェーデンは、ベトナム戦争に倦んだアメリカ兵の亡命をも受け入れた。僕は移民研究の専門ではないので何とも言えないけれど、市民生活の視点にたって行政をチェックするオンブズマンの制度も先進的に整えることができたことを見てもわかるように、もちろん基本的人権に対する考えは徹底している国だろう。けれど、高負担を支える担税者とをより多く必要としているという本音も考えてみる必要もあるだろう。

一昨日、TV4というスウェーデンのTV局が、スウェーデンのヨンシェーピングの電話販売会社で、外国出身の従業員に対してスウェーデン風の名前を語ることが強制されていることを報道した。このニュースはTV4の独自取材によるもので事実としてオーソライズされたものではないが、TV局の報道によれば、電話販売の実績に悪影響があるため販売会社の使用者側からスウェーデン風の名前を使うことが強制されたという。これに対して使用者側は、外国出身の従業員がスウェーデン風の名前を使っているのは事実だが、それは従業員の自発的な判断によるものだと主張しているという。このニュースに登場する人種差別問題オンブズマンも認めるように、強制の事実が判明されればこれは明らかな人種差別だ。スウェーデンにおける人種差別の歴史は今回の発言では控えようと思うが、多民族化の進行は今に始まったわけではなく、ましてや我が国では移民受け入れの先進性をもって紹介されるスウェーデンにおいて、スウェーデンにおける生活を円滑に進めるためにはスウェーデン風の名前を用いてスウェーデン社会に溶け込む必要が求められる隠れた圧力があるとすれば、スウェーデンはますますユートピアなどとは言えない隠された差別の蔓延する普通の国だとも言える。けれど、過度にユートピア視して観察するよりは、質の差こそあれ日本も、スウェーデンも似通っている問題が山積する普通の国として観察するほうが、僕はよりスウェーデンから多くのことが学べると思っている。(今回の発言はたまたま厳しいものになったけれども、いずれ良いところも紹介しよう。念のため。)

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