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2008年3月18日 (火)

なぜスウェーデンの子供たちは土曜日にだけお菓子が与えられるのか?

今日、明日と所属先の世界言語研究センター主宰の国際シンポジウム『コトバの力学〜他者表象としての外国語』です。いまだにストックホルム時間な体内時計を良いことに、シンポジウム報告の準備やいくつかの原稿を書いています。はぁっ…と、ここで気分転換にひとつ。

ことの発端はストックホルムに先日滞在していたときに、大阪に残っていた妻とSkypeで会話をしていたら、「子供のおみやげに土曜日にお菓子を買うなんて、まさにlördagsgodisを地でいっていて通だね。」と妻に言われたことにあります。スウェーデンでは、親は子供たちに土曜日にだけお菓子を買い与える習慣があります。これをlördagsgodis(土曜日のお菓子)と言います。そのときには何気なく、まぁ、確かに町中のスーパーでも、お菓子やさんでも土曜日になるとlördagsgodisむけのお菓子が売られているよな…と思うくらいでした。で、「何で、土曜日だけなんだろう?」という疑問は残りましたが…。

この週末の土曜日に予定している非公開の講演の準備(…いろいろな仕事を同時進行マルチタスクしています…)で調べ物をしていたら、とある文献で何気にlördagsgodisという習慣の起源について書かれているものを目にしました。曰く、確かにこの習慣は子供の虫歯予防という目的があるのだけれども…それはヴィーペホルム実験の結果である…と。ヴィーペホルム実験?これ歯学の世界では有名な実験らしいのですが、1945年から55年にかけて、ルンドにあるヴィーペホルム精神病院に収容されていた患者400人以上を対象にして行われた人体実験だったのだそうです。実験内容は、患者を数グループ(普通の食事を採らせるグループ、食事と間食を与えるグループ(このグループは、キャンディーやチョコレートなど、間食させられたものの内容に応じてさらに細分化されます)、そしてなかには毎日キャンディーだけを与えられたグループ)にわけ数年間の長期間にわたって摂食させ、糖質と虫歯の相関関係を明らかにしたのだそうです。(僕だけが知らなかった話ですか?誰からも聞いたことがない話です。)

で、この実験の内容が知られた結果、スウェーデンでは過度なお菓子の買い与えを控えるになったそうな…。って、今の倫理感から言ったら絶対に認められない実験ですが、lördagsgodisという一見ほほえましスウェーデンの習慣の背景には…なんていうのかな、オーウェルの『1984年』的世界の究極を言っていた一時代のスウェーデン福祉国家の側面をここにも見出して…絶句。ドイツは第二次世界大戦の敗北とナチス的思想の断絶によって(東ドイツはわからんが)、こうした「健全なる血統」を残そうとする優生学的発想は断たれたかもしれない(…断たれていなかったら教えてください、門外漢なもので…)のですが、スウェーデンは1945年はまったく断絶を意味しないので19世紀後半以来の発想がそのまま純粋培養されて20世紀後半まで残ったところがあり、精神病患者や先天的障害者などに対する非人道的扱い(優生学的発想ではスウェーデン民族の「健全なる血統」を守るという意味では「人道」的だったかもしれませんが)の事例が散見されます。ひょっとしたら、スウェーデンにおける福祉国家の一時的な成功も、こうした負の側面からとらえなおしてみる必要があるかもしれませんね。

って、この調子で現代スウェーデンにおけるこうした話を集めていったら、『本当は怖いスウェーデン』とかいうタイトルの本が書けそう…なのが怖い。というか…そろそろシンポジウムの報告草稿を仕上げないと与太話になりそうなのが怖い…ので、今回の話はこのあたりにしたいと思います。ブルブルっ…。

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