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2007年11月29日 (木)

ラディカルな講読の授業

学生との授業はいつも楽しくてついつい時間が経つのを忘れてしまいます。どの授業も楽しいのですが、とりわけスウェーデン語の講読の授業は、僕自身のスウェーデン語の勉強にもなりますし、楽しいです。講読の授業というと、辞書とテキストのにらめっこで逐語訳…ってイメージが強いと思いますが、それをどう楽しくするか。これは教員としてはひとつのチャレンジです。テキストの内容を面白いものにして、楽しい講読の時間にする。これはよく試みられていると思います。例えば、スウェーデン語を使ってスウェーデンの勉強をするのは当たり前すぎる(誰でもできる)と思うので、僕は、スウェーデン語を使ってスウェーデンで受容された日本イメージと日本文化なんてテーマで、日本のことも勉強できるような、そんなテキストを選んできました。今は、スウェーデンにおけるジャポニスムに関するスウェーデン研究者の論文を読んでいます。昨日などは、延々と「金唐革」と「金唐革紙(擬革紙)」を議論していました。

("gyllenläderstapeter"なんて単語は、(そもそもスウェーデン語の辞書に載っていない合成語だけれども)ふつうに訳してみたら、「金」の「革」の「壁紙」になるわけですが、この単語の前に"imiterade"という言葉があると、ヨーロッパ伝統の宮廷などを豪奢に飾った「金唐革」になる。(19世紀後半に和紙でもってイミテーション生産されたものならば、「金唐革紙」。)やはり、日本のことをきちんと知らないと、こんな訳にはたどり着かないですね。

「金唐革紙」は、本郷あたりに詳しい人ならば旧岩崎邸の洋館の壁紙として用いられている壁紙として知っているかもしれません。そもそもスウェーデンへのジャポニスムの受容過程はフランスからダイレクトに伝わったものではなく、W.バージェスやE.W.ゴドウィンといったイギリスのネオ・ゴシック主義の建築家やC.ドレッサーのようなデザイナーらによって形成されていったアングロ・ジャパニーズという流行を受けて、Libertyあたりで生産販売された金唐革紙などの「日本風」商品を通じてイギリス経由で入ってきているらしい。)

このような「目から鱗が落ちる」ような体験ができるのも、面白いテキストがあればこそなのだけれども、いつもそういう場合とは限らない。とりわけ、高度に客観的な内容を伴うスウェーデン語の学術的文章をテキストとして選ぶと、学生のみなさんはそれを逐語訳するので懸命で、そのテキストからあふれ出る様々な興味深い情報まで予習はたどり着かない。例えば、今読んでいるテキストも、金唐革紙だとか、アングロ・ジャパニーズだとか、バージェスだとか、ゴドウィンだとか…果ては産業革命以降勃興しつつあった新興ブルジョワ層の嗜好だとか、それに伴うヴィクトリアン様式の流行だとか…挙げればきりがないけれど、「スウェーデンとか関係がないから調べなくてもかまわないだろう」と思われるような事実の一つ、一つが実は面白い内容を含んでいて、それを知ってこそはじめてスウェーデンのジャポニスムに関するテキストの内容を理解できるわけです。

(それに、文字ばかりのテキストだと、なかなか視覚化されたイメージを得にくいところもありますね。アングロ・ジャパニーズのデザインの特徴なんて、「日本の家紋に見られるような文様や松や鳥が配された曲線状のモチーフが雲などとお互い絡み合って刻まれている」なんていうスウェーデン語の文章が出てきたときに、いったい何を言っているのか全くわからないわけだけれども、こんなのは金唐革紙の写真を見れば瞬時に内容を理解できる。)

そこで思いついたのが…というより妄想したのが、以下のような講読の授業スタイル。

設備条件として、各机にネットワークに接続されたPCのあることが大前提ですが、テキスト一切なし、辞書一切持ち込みなしの講読の授業。その日のこちらの気分で、ネットを開いてスウェーデンのマスメディアだとか、官公庁とか、大学・研究機関だとかのホームページを開いて、「はい、今日は、このテキストを読んでみよう!」とテキストを選択。で、しばらく時間を与えて、ネット上にあるレファランスサイトをはじめとする情報源を駆使してもらって、その場で訳してもらい、授業の後半で邦語訳の発表。情報は、スウェーデン語の単語の意味だけでなく、画像・動画も含めた様々なデータを駆使すれば、訳の内容とテキストの理解も深まるだろうし、何よりスウェーデンとかに行っていつも辞書とか抱えているわけではないから、ネット上の情報を駆使してテキストを理解する術を身につけたほうが、実践的…かな。

なんて感じの講読の授業を、夢想しますが、あまりにラディカルすぎるので、きっと却下…だな。

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