最近のトラックバック

2020年3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« 現代北欧地域論4a | トップページ | 第26回北欧歴史家会議にエントリーした! »

2007年5月30日 (水)

ゴート主義とバロック国家

っていうか、想像の共同体なんて言う言い回しと結びつけられながら、ナショナリズムが語られてどのくらいたつものかなぁ。共同体を想像するという行為は、別に19世紀を待つまでもいと思うんだけど。例えば、「古き良きもの(と思われるもの)」と結びつけながら、「自分たちは何者なのか?」を語る行為は、割と古くからあるよねぇ…きっと。「北欧」民族が自覚的に語られた最初の事例を個々で挙げるならば、それは、1432年のバーゼル公会議に、初代カルマル連合王エーリック・ア・ポンメルンの名代として出席したスウェーデンはヴェクショー司教ラグヴァルディの、会議での席次をめぐる論争ということになるんだけど。

公会議における席次は、15世紀当時、(1)出席者の「出自となる集団(…これを民族とすべきかどうか…)」の起源の古さ、(2)出席者の「出自となる集団」がキリスト教に改宗した古さの二点を基準として決められていたって言うよね。ここでラグヴァルディは、カルマル連合に属する「北欧」民族の起源をノアの子孫であるゴート族に求め、スカンディナヴィア半島からイベリア半島に渡ったゴート族(いわゆる西ゴート王国)が異教徒たるイスラム教徒と戦ったことから、公会議における高い格付けを要求したんだ。いわゆる北欧におけるゴート主義のはしりでってやつ。

キリスト教という普遍世界における格付けの問題から、民族の出自という個別的問題が導き出されている点が興味深いと思いませんか!?。(公会議主義における民族性の問題…なんて、誰も研究していないだろうな?)で、ゴート族にこと寄せられた民族出自の説明は、17世紀後半にリンパ系を発見したことで知られるウップサーラ大学のO.ルードベックによって体系化されることによって、「バルト海帝国」の正統性を主張するための稀有壮大な誇大妄想的「物語」へと発展したことは、よく知られているよね。17世紀後半って時代を顧みると、ニュートンでも、スピノザでも、ライプニッツでも…まぁ、なんて言うのかな…「科学」という一見客観めいた語りの技法を用いて誇大妄想的な世界観を語り挙げようとしているところに、時代の流行っていうか、共通性みたいなものがあるよね。

ルードベックも、そうしたバロック期の思想家の典型だな。まぁ、そもそも、「バルト海帝国」なんてもの自体が、スウェーデン本国の人的・物的資源の実態とはかけ離れた誇大妄想の産物と考えられないでもないので、そうなるとそれは「バロック国家の典型」なんてことになるでしょうね…ルネサンス国家という言い方はあっても、バロック国家なんて言い方はまだないかもしれないけれど。しかし、それこそ、それは様々な質の異物をコングロマリットした、いびつで巨大な構造物。忘れていけない点は、ルードベックが、科学や古典…といった当時の学問を総合して、「客観的」体裁を保ちつつ「ゴート族の北欧」という「主観的」妄想を築いた点。こうして「古き良きもの」にこと寄せる論法が共同体の説明の仕方として説得力を高めた結果、ナショナリズムなんて呼ばれる時代…北欧で言えば、グルントヴィに代表されるような古き「北欧」を求める時代がやってくるんだろうね。

というわけで、僕の「バルト海帝国」論の結論は「バロックにあり!」ってことにあるってことに気がついて、今、バロックにはまっています。で、誰か、僕にバロックについて教えてください。これが論じられれば、公会議なゴシック世界とナショナリズムの近代市民社会を繋ぐラインで、「ゴート主義」「バルト海帝国」「北欧」を結びつけられそうです。でもって、「こんなことを夢想するお前が、一番の誇大妄想狂だ」というツッコミは…あまりにも的確すぎるので、よしてくださいな。

« 現代北欧地域論4a | トップページ | 第26回北欧歴史家会議にエントリーした! »

コメント

バロックについては正直よく分かりませんが・・・・・・

先日、ピーター・バークの『ルイ14世-作られる太陽王-』をペラペラめくっていて、あらためて17世紀頃って、大見得を切ってる(切りたがっている)時代だなぁ・・・と感じたところです。

ということで、「バロック国家」という言葉は、僕なりの言葉では「かぶき国家」と言えるかな、と。ちょっと無理矢理ですが。

ということで、バロックとしての「バルト海帝国」論、期待してます。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ゴート主義とバロック国家:

« 現代北欧地域論4a | トップページ | 第26回北欧歴史家会議にエントリーした! »