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2005年11月22日 (火)

カタルーニャの自治問題

スペイン国会では、カタルーニャ自治州の自治問題がホットな議論になっているようですね…。スペインの場合、それに属する州の政体は州単位の自治憲章で制定することができるようですが…ここにも現代にいきる「複合国家」の現実が内包されていますね。

無論J.H.Elliottの議論を嚆矢として、スペインは「複合王朝」論の典型として理解されてきたわけであり、それを構成する個々の国体の伝統に応じて、徴税権をはじめとする各州の自治権にも開きがあるわけです。(バスクとか、ナバーラとかは徴税権さえ独自らしい。)そしていよいよカタルーニャの議論へと至る…。僕個人の関心を惹いた今回のカタルーニャ自治州議会による自治憲章改正案の内容は、カタルーニャを一つの国(nación)と位置づけるという文言…。朝日新聞の記事によれば、現社会労働党政権の首班サパテーロ首相は、「国(nación)に代わるべき言葉は八つほどある」と言っているらしいけど…スペイン語知らないので何とも言えないのですが、そんなにあるの…ってことよりも、naciónという言葉を使おうとしている歴史的ニュアンスを理解しなければ、大変なことになりかねないですねぇ…っていうか、そもそもnaciónってスペイン語の語彙であってカタルーニャの人たちはカタルーニャ語でそれを語りたいのだろうに…。本音の部分で現在のスペインに占めるカタルーニャの経済的重要性という問題も大きいと思いますが、このような独立をも念頭においた議論では住民のアイデンティティに影響を来す国家理念のような建前の部分が大きく作用すると考えています。

スウェーデン史を勉強している僕がなぜスペインのことを発言するかといえば、僕が大きな影響を受けているルンド大学歴史学部のH.Gustafsson教授が提言している「複合国家」論は、もともとカリフォルニア大学バークレー校のP.Sahlins教授によるBoundaries: The Making of France and Spain in the Pyrenees (Berkeley : University of California Press, 1991)と題されたピレネーあるいはセルダーニャ地域の住民アイデンティティに関する研究から影響を受けているということもあって、なるほど例えばデンマークとスウェーデンの間に位置するスコーネ地方研究もかくあらねばならないと思い続けているからです。(日本ぢゃぁ、P.Sahlins教授の業績って、どう評価されているのだろう…僕はBoundariesしか読んだことないのですが、最近のUnnaturally French: Foreign Citizens in the Old Regime and After(Ithaca: Cornell University Press, 2004)なんかも面白そうですね…セルダーニャと考えれば、近世フランス史研究と理解して良いのか。)というか境域におけるアイデンティティの展開ということに関して言えば、Boudariesは必読書。

昔はG.Parkerの述べるがごとく、「軍事革命」論のことでスペインに注目せねばならないと思っていましたが、今や「複合国家」論の見地からスペインへ…。かえすがえすも近世史研究を志す者…例えスウェーデン史を志す者であっても、スペイン史を避けて通れません。

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