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2005年8月 4日 (木)

観光コンテンツの開発

最近とかく学問の社会的還元が叫ばれていて、それが短期的に目に見えるような結果を生み出す技術系の学問とは異なり、西洋史学を含む人文系の学問はどうしたら良いのか、現代日本社会はあまりにも性急すぎて、長期的な人文系学問の価値が疎んじられている傾向があるので、多くの方が悩んでいらっしゃると思います。僕のような西洋史学に生きる立場では、短期的にその成果を社会に還元せよと迫られているならば、単刀直入に言って、大きく言えば社会的啓蒙、具体的に言えば教育と観光に自らの研究成果を活かすしか道はないと考えています。

教育については、日本社会の現況に応じた初等・中等・高等教育を連携する包括的な歴史教育のあり方が模索されねばならないと考えていますが、この点については別の機会に発言することにしましょう。今日は某旅行会社で講義をしてきましたので、それに絡めて観光コンテンツの開発について発言したいと思います。

日本社会が高齢化社会を迎え、しかも今後、高等教育を受け一定程度の知的水準をもった「団塊の世代」がリタイアしていく状況を見越すならば、そうした世代の知的需要に応じた学問発信のあり方が求められている気がします。今日僕が講義をした場に集まってくれた方々はいわゆる「シニア」世代の方々ですが、そうした方々の知的関心には大変な積極性を感じます。こうした世代のもつ潜在的な需要に活路を見いだそうとしている業界は多々あると思いますが、それであればこそ、そうした業界とも学外で連携する可能性もでてくるでしょう。

例えば、観光業界はその代表と思います。最近放送業界や観光業界から求められて知識を提供する機会が増えたのですが、ここで冷静になって北欧に関する観光ガイドに目を通してみると、客観的な取材をどこまですすめたのかわからない誤った情報が記載されているものを見かけます。これで地球を歩けといわれたら、おそらく迷ってしまうこと必至です。観光目的以外でも、巷に流布するそうした観光ガイドが誤った北欧イメージを作ってしまうことに危機感を抱きます。

北欧文化の研究に深く沈潜し、その具体的な様相をいかにして理解するか、日々努めている自分としては、我が国におけるいささか安易にして、粗雑な観光コンテンツの現状に危機感を抱きます。ですから自分の知識を提供できるところで観光コンテンツの開発に協力することは、すなわち我が国における北欧理解の充実に資することにつながり、日本に生きる北欧地域研究者としての自分に与えられた役目に合致するものでもあると考えています。

ここで言う観光コンテンツの開発とは、従来のような観光地の説明に従事するということではありません。そうした観光地の正確な説明はもちろん必要です。しかしむしろ、歴史学のディシプリンで培った文化あるいは社会を見る普遍的で多様な視角に立ち、そうしたテーマに即して北欧なら北欧という地域を理解するに必要なコンテンツ(…それは従来の観光ガイドでは一切触れられることのない「埋もれた」ものばかりですが…)を「発掘」することが、自分の積み上げてきた学問の資産を社会に還元する方法の一つだと思っています。

それよりなにより、様々な学外の業界と協業できることはとても楽しく、自分の力がどれだけ社会に通用するものなのかを諮るという意味で挑戦的な機会です。

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