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2005年6月15日 (水)

百見は一聞に如かず

ここ北摂は梅雨に入ったとはいえ、昨日も大変蒸し暑い日でした。こうしたときにありがたいのは、帰りがけにちょっと立ち寄れる立ち飲みやさん。お昼ご飯を切りつめても、蒸し暑い日には立ち寄る価値がある。いつも決まって鰹のたたきをあてにビールをひっかけるスタイル。そこに滞在する時間は賞味10分程度。サクッと飲んで、疲れた気分を切り替えます。安かろう悪かろう…では決してなく、ビールはちゃんとした生ビールですし、かつおも生タマネギ、アサツキ、ニンニクなど(…ぼくは生タマネギとニンニクが好きです…)を薬味に8切れくらいでてくる。これ「百聞は一見に如かず」の典型例で、立ち飲みやと言えば「オヤジの巣窟」というイメージがあるかも知れないけれど、リフレッシュの場としてはなかなか良いです。

(この時期の大阪と言えば、ハモの湯引きに水茄子が季節物ですが、どうしたことか、いつも訪れる立ち飲みやでは後者がラインナップされていない…挙げ句の果てに今日のおすすめはなぜかワカサギの天ぷらだった…このあたり改善の余地ありです。)

さてこのブログではときたま全国の方から貴重なコメントを頂いており、そのコメントの数々から示唆されることは多く、あらためて感謝する次第です。東京大学大学院の小澤実さんから頂いたコメントに、「耳学問は大切」と書きましたが、このことを学生のみなさんに伝えたいのであらためて項を設けて発言します。

かつて僕が学部生の頃ご指導をいただいた先生の一人に、今は国立西洋美術館館長の樺山紘一先生がいらっしゃいます。樺山先生といえば、幅広い学識に裏付けられた歴史への鋭い洞察に、いつも深い感銘を覚える歴史家ですが、かつて学生の頃は先生ご自身の体験に裏付けられた話も楽しみだった一方、ゼミや合宿(毎夏青森の農村に行っていました)で(ときには酒杯をかわしながら)学生の話をよく耳を傾けてくれる先生でもいらっしゃいました。例えば北欧のことを話題にしたときにも樺山先生は僕の話に耳を傾けてくれた後、堰を切ったように北欧の情報をあれこれと持ち出されながら、アドヴァイスを頂けた経験は貴重だったと思います。

その樺山先生が授業中によく「百聞は一見に如かずと言いますが、その逆もまた真なりで、百見は一聞に如かずというのも大切なことです。」とおっしゃられていたことを強く覚えています。もちろん人は現場に赴いて実際に体験することが大切です(…この努力をすることが大前提になっています…)が、しかしそうした体験をするには時間と肉体は限られています。そうしたときにその道の専門の方々の話に耳を傾け、追体験させて頂く機会は貴重だということです。もちろん僕は樺山先生の深い歴史への見識から勉強させて頂いた部分も大きいのですが、学部生の頃よりこの「百見は一聞に如かず」という言葉が忘れられず、今の学究生活のなかでも先生の言葉を実践しています。

例えば大阪外大には様々な地域文化を様々な学問領域において究められている方が多くいらっしゃいます。学生のみなさんにとっては、普段授業でしか会うことのない先生でしょうが、そうした先生たちはそれぞれの研究分野で第一線に立つ研究者でもいらっしゃいます。僕が今の大学で生活していてとても幸せだと思うことは、同僚の先生方からいつも貴重なお話を伺うことができるということです。北欧の文学のこと、言語のこと、社会のこと…こちらが疑問に思うことを質問すれば、いつも的確なアドヴァイスをいただけることは幸せなことです。(これは決して北欧のことだけには限りません。)普段の授業だけでは自分の知的好奇心を満足できない意欲的な学生のみなさんには、積極的に「耳学問」に努めることをお薦めします。大阪外大はそうしたみなさんの好奇心に十分応えられる知的環境があると思いますから。

しかしそうした環境がなかなか表に見えてこないところが、今までの大阪外大の欠点だったといえます。でもそんな大阪外大でも、ようやくこれからは他の専攻の先生方のご研究を披瀝する懇話会が積極的に開かれていくような話を聞きました。まさに「耳学問」を成就するにはうってつけの場です。僕も一人の学生として、おおいに勉強させてもらおうと思います。

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