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2005年6月30日 (木)

今日のプレゼンの反省点

いろいろと仕事を抱え、ハングアップ寸前のハードなマルチタスク状態にあるこのごろです。今日は大阪外大の学内共同研究プロジェクトでプレゼンをしました。「学術的観光コンテンツの開発」というテーマなのですが、今回僕はスウェーデンの世界遺産「森の墓地」とスウェーデンの死生観を巡る旅について報告しました。この件については、以前「スウェーデンの死生観」という発言で話した内容とほぼ同じです。

このプレゼンから得た大きな反省点は、普段スウェーデンのことについて常識と思っていることが実は非常識であることを確認したことです。例えば、今日の報告では「現代スウェーデン国家による福音主義ルター派教会の伝統の横領」ということに少し触れました。2000年までスウェーデン教会は国家組織から分離しておらず、そのときまで例えば子供が生まれると教区教会に登録することが普通に行われていました。僕がスウェーデンへ留学したのは2000年にスウェーデン教会が一法人として自立した後だったので税務署に住民登録をしましたが、1980年代にスウェーデンに生まれた僕のある学生はやはり教会に登録したということです。そんな話をプレゼンの後の質疑応答の際に、現代スウェーデンにおける伝統の援用の一例として話をしたら、「え!それっていつの時代の話?中世?」って返ってきて、「だから20世紀です、福祉国家ができて以降の話です」と答えたら、「スウェーデンって世俗化された社会のイメージがあるんだけど…」と返ってきました。いやいや、現在のスウェーデン国家は伝統的な観念を横領する上にようやく成立しているのです…死生観も、宗教観も、国家観も。

(その後、「スウェーデンにはそもそも死生観という概念が成立するんだ…イタリアのほうだと死生観という概念自体があいまいに思えるんだけどね」というとても示唆的なコメントを頂きました。死生観…ひょっとすると「団塊の世代」がリタイアを迎えるこれからの時代、そうした世代の心をつかむキーワードになるかも知れません。)

スウェーデンについては日本で紹介されているイメージにかなり偏りがあって、固定概念が先行している部分が大きく、今日の例もそのひとつです。そうしたイメージを修正していく必要はありますが、例えばそれを説明する側が「どういったところが日本で常識とされていないことか」について理解していなければ適切な批判につながりません。「新たな観光資源」の開発に専門家が携わるときなど、こうした点に細心の注意を払う必要があります。そのためにも専門家以外の人たちとのコミュニケーションは、翻って専門家自身の視覚に反省を迫るものになるから大切です。

今日の報告では、この至極当たり前のことを再認識する機会となりました。

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コメント

はじめまして。
実はブログを始められた頃から愛読しております。
スウェーデンに6週間ほど滞在したことがあり、
スウェーデン関係のサイトを巡っているうちに
たどり着きました。
こっそり読んでいるようで後ろめたくなり、
楽しみに読んでおります、とお伝えする意味をかねて
コメントいたします。
コメントすべきかどうか、場違いではないか、
と随分逡巡したので賞味期限切れのコメントです。
私は、福祉の分野で仕事をしておりますが、
「スウェーデンの福祉は進んでいる」という言説が
どのように作られたのだろう・・・と、
いつもひっかかります。
語られていることばかりではなく、語られていないことや、
何故そのことが語られることとして選ばれたのか、
ということに興味があります。
いつも学生さんに連絡される際の講義のタイトルを拝見しては、
私も講義を受けてみたい・・・・、どんな講義なんだろう????と、
ワクワクしております。
実は、私は仕事で同じタブレットPCを愛用しており、
そのあたりのお話も、楽しく拝見致しました。
これからも、全くの部外者ですが、お伺いいたします。
よろしくお願い申し上げます。
ご挨拶まで。

川本様

はじめまして。コメントをお寄せくださり、ありがとうございました。またこちらからの返答が遅れましたこと、申し訳ございません。

確かにスウェーデンは「福祉」国家だと思いますが、しかしその「福祉」という言葉の意味は決して普遍的でなく、スウェーデンという「場」あるいは文化が育んできた要素と20世紀という時代の枠組みが必要とした要素が縦糸と横糸として織り合わさた独特の概念だと僕は考えています。

「福祉は進んでいる」というのは、川本さんご指摘の通りでまさに「言説」であり、それはその言説を発した側、受けた側、そしてその言説を再発信する側…と「言説」に触れた者それぞれの関心に応じて、様々に解釈され、変貌するものです。どのようにこの「言説」が作られたのかを調べる(これは僕自身の課題でもありますが)には、少なくともこの言説の背後にあるスウェーデンの論理とそれを受けてきた(あるいは再発信してきた)日本の論理を理解する必要があると思っています。

今後とも川本さんから頂くコメントを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。

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