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2005年6月24日 (金)

『史学雑誌』落手

ここ北摂にもようやく今年の『史学雑誌』回顧と展望号が届きました。まだ斜め読み(…しかも研究室に置き忘れてきてしまった…)ので、すべてに目を通したわけではありませんが、このブログにもコメントを頂いている東北大学の小田中直樹さんの「認知科学」に対するご意見は、小田中さんが執筆された「歴史理論」の項で明らかにされています。僕もこれを読ませて頂いてから発言すべきだったかも知れません… 「歴史理論」を執筆されていたとは知らなかったものですから、先走ってしまった感じですみませんでした。学生のみなさん(とりわけ歴史ゼミに所属するみなさん)はすぐに目を通すように。「北欧」については、昨年から「ロシア・東欧・北欧」という枠組みで必ず研究が紹介されるようになったのですが、今年は紹介件数が少ない印象を受けるとともに、「北欧」は個別論文が散発的に紹介される感じで全体の大きな動向が見えにくい。点数自体が少なかったのか、それとも収書状況が芳しくなかったのか… まだ研究分野としての「北欧」は成熟途上にあると考えれば、それは致し方がないといった感じです。(昨年僕自身執筆して、膨大な資料収集と限られた字数に動向をコンパクトに整理することは大変な作業だと思いました。ですから各項目の執筆者の皆様のご苦労には深く感謝するとともに、だからこそそこで示された情報は貴重な価値をもつものだと思っています。)「北欧」は地域研究としては先輩にあたる「東欧」の諸研究などに学びながら、「向こう岸からの世界史」に与しなければなりません。紹介点数が少ないからこそ、そこで紹介された論文については価値のあるものであり、学生のみなさんは必ず目を通すべきでしょう。

で、回顧と展望号の408ページにはこの秋11月12日に開催される史学会大会公開シンポジウム「18世紀の秩序問題」について、東京大学の近藤和彦先生の筆によるお知らせが出ています。このテーマの依拠する問題関心の在り方については先生の文章を読んで頂くとして、このテーマが日本史・東洋史の研究者とともに語られることは大変楽しみです。僕個人も最近は(…というか正確には今回の回顧と展望の「近代 ロシア・東欧・北欧」で紹介されていた中澤達哉さんのご研究に出会ってから…)「バルト海帝国」としての近世スウェーデン複合国家という議論から微妙に関心を移行させ、「複合国家」の秩序問題、とりわけその統合軸になった意識の具体的な在り方について主に18世紀の宗教的言説から分析を進めていたので、このシンポジウムは興味深いものです。そういえば、翻って我が故郷についてもこの時期の秩序問題は興味深いテーマです。例えば、水戸学が初期水戸学から後期水戸学へと静かなる転換を遂げていくのもこの時期ではないでしょうか。「国体」という政治・社会・文化を包含する秩序を論ずるという点では一貫性があったかも知れないが、歴史叙述に言寄せて論じていたものが、来るべき幕末へと政策提言を伴う社会哲学と変わっていったのもこの時代ということです。いつも思うものですが、後期水戸学のイデオロギー研究は古くは丸山真男だとか、最近ではV.コシュマンだとか刺激的なものが多いのだけれども、前期水戸学から後期水戸学への転換を促した背景についてはあまり議論を聴きません。野口武彦の『江戸の歴史家』(ちくま学芸文庫)くらいかな。素人考えですが、後期水戸学の秩序理念を理解するには18世紀(~19世紀初頭)の水戸藩における経験に基づいた社会通念の変化を前提にする必要があるんじゃないかと思っています。

で、小田中さんから「まずはモノグラフが大切だと思っています」とコメントを頂いたのですが、この公開シンポジウムの「秩序問題」というテーマは、いずれはやいうちに具体化せなければならない僕自身のモノグラフ構想の大きな柱です。「複合国家」という近世スウェーデンの秩序は、近代スウェーデンとの関係において17~18世紀において何が一貫し、何が変化したのか。この問題について昨年は中澤さんのご研究に触発されて「祖国」論に飛びつきましたが、今年の夏休みはすでに対象とすべき問題を見つけてあります。昨年は宗教的言説を攻めましたが、今年は世俗的言説の分析を進めようと思い、近世スウェーデンにおける政治算術とかの議論をサーヴェイしてます。そうしたらおもしろそうな思想家を見出しました。その人物は複合国家の構成要素の一つフィンランド出身の聖職者なのですが、「フィンランド」や「聖職者身分」といった地縁的・身分的枠組みを超えて、1760年代以降世俗的観点から「スウェーデン」を議論しているのが実に興味深い。で、1760年代というのがまたおもしろいのですが、18世紀(というか近世)における秩序意識が決定的に変化するのは七年戦争以降だと前々から各研究会に出席するたびに主張してきましたけど、ここでもまたその論を補強する事例に出会った感じです。この1760年代転換については、各地域の研究者ともっと議論を深めたいと思っています。

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