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2005年5月 4日 (水)

敗北を抱きしめて

臨月に入りいつ出産してもおかしくない妻が、最近僕のPowerBook G4をうらやましそうに眺めている。物欲の少ないシンプルライフを是とする妻には珍しい。

今や長年使い続けてきたWindows環境を継続させられることが明らかになったのだから、確かにMacは良い選択と思う。MacOS X Tigerの起動にかかる時間は圧倒的に短かく、小粋なユーザーインターフェースは想像力を刺激するかのよう。妻が僕の使っているブラウザをみるたびにフォントの美しさの違いに感嘆の溜息を落とすのも無理はないが、しかしそうしたところへApple社が行き着くには危機的な90年代の経験があったことを忘れてはならないと思う。

Apple社のカリスマ経営者S.ジョブスが経営に復帰するまでのMacは酷かった。OSの世界市場におけるシェアばかりが注目され、Apple社も一時は何を目指すべきかわからず、一頃はPDAにまで手を出して彷徨った。でも彼が戻ってきてからのApple社はできることを整理する一方(…例えばApple社のプロダクツラインはコンシューマー向けデスクトップとノートブック、プロフェッショナル向けのデスクトップとノートパソコンの4種類しかない…)、iPodのような新たな生活スタイルをデザインする道具の提案にも成功した。

ここで注目したいのは、失敗を踏まえたApple社が自己を客観的に見つめなおした場合、何が可能であるかを見据えたうえでプロダクトデザインを行っていること。Apple社がほかのコンピュータ関連会社と違う点は、OSからコンピュータまでの開発生産を一社で担っている点に集約できるが、それゆえにApple社は自らが開発したハードウェアの有効な使い方や理想的な使い方を使用者に提言することも可能になり、MacOS X とiMacのような使いやすいOSとハードウェアの連携も可能になる。そのようにトータルデザインされているのだから、妻がほしがる魅力が自然と醸し出される。

例えば、これがソフトウェアのライセンス料という架空の利益で潤っているMicrosoft社だとソフトウェア上の理想論をいろいろと述べたてるものの、それがときにハードウェアヴェンダの実情から乖離した空論にもなっている。逆にOSの開発に携われないところに立たされている日本のメーカーは、節操もなくつまらない小手先の機能だけで消費者を幻惑しようとすることに堕している。

今もApple社が世界市場で占めるシェアは微々たるものだから、その成功は決して数の論理や金の論理では図れるものではない。でもiPodやMacOS Xを見てみれば、それは確実に成功だと言える。敗北を抱きしめ自分のできることを見つめ直したところが、 Apple社が次のステップへと踏み出せた鍵だと思う。敗北を抱きしめることに躊躇し、失敗の原因に目をつぶりながらいつまでも幻想にとらわれ自分の実力を過大視したままでは、失敗を拡大再生産するだけ・・・どこかの国がまさにそれではないか!

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