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2005年5月24日 (火)

就職するなら…第二章

前と前々の発言でついうっかり『機動戦士ガンダム』のことを話題にしてしまいましたので、もう一度そのネタをふってしまおうかと思います。

『ガンダム』もその第一作目が公にされた年が1979年のことですからすでに四半世紀の歴史をもつに至っているわけで、一世を風靡した第一作目の後に数々の作品が「後付け」で制作されていった結果、(ときたまその作品間の整合性に疑問は残るものの)それなりの「ガンダム・ワールド」と呼びうる作品群を構成するようになりました。

僕は熱心なガンダム・ファンではありませんから、最近の「ガンダム」的意匠を「あれでもか、これでもか」と引き継いで増殖しつづける「○○ガンダム」には詳しくありません。しかし、その背景ではバンダイというおもちゃメーカーの市場戦略があるからこそ、四半世紀も「ガンダム・ワールド」なるものが発展させられてきたことは理解できます。バンダイの戦略からすれば、「ガンダム」の名前を冠したおもちゃを作れば売れますから、それに踊らされて後付けで様々なガンダムの物語が想像され、「○○ガンダム」が増殖していったのでしょう。

さてバンダイというおもちゃメーカーがプラモデルを中心に展開している「ガンダム」戦略によって、最近では「ガンダム」という記号は大人と子供の違いを問わず世代間のコミュニケーションを図る格好の素材にさえなっています。僕が大学院生の頃でしたが、バンダイのプラモデル戦略において大人をターゲットとした「マスターグレード」というラインナップが拡充されたこと(その値段は2500円~4000円くらいと明らかに子供向けではありません)によって、その路線は確実になったように思います。

驚くべき点は、この「マスターグレード」という路線においては、例えば同じ“ファースト・ガンダム(すなわちその世界ではRX-78-2と呼ばれているものですが)”だけとってみても、(1)ガンダム、(2)ガンダムVer.1.5、(3)ガンダムVer.Ka(これはカトキハジメ氏というデザイナーによってリファインされたものです)、(4)ガンダムVer.One Year War 0079(これはナムコというゲームメーカーと共同開発されたテレビゲーム上でリファインされたガンダムのデザインを再現したものです)といったように、プラモデル開発の技術的蓄積を付加価値としながら、実際にお金を落とす大人たちの物欲を継続的に刺激する目的で、「ガンダム」デザインのリファインが積み重ねられていることです。それはあたかもバンダイのガンダム関連企画に携わっている人たちは「モビルスーツ」という架空の存在を本当に現実化するつもりでいるんじゃないかと思わせるほどの勢いです。

かつて大河原邦男というメカニカル・デザイナーが書き上げた「ガンダム」のデザインが、バンダイというおもちゃメーカーの経営戦略にのせられて、その時々の最先端の技術を援用しながら、消費者である大人の欲求を満足させるかたちで付加価値がつけられ、"Ver.○○"といった形で増殖しつづける道程については、常々、ある一つの事象に与えられる多様な解釈がどのような歴史的・社会的背景をもって生産(あるいは再生産)されていくのかという問題を考えるうえで格好の素材になりうるのではないかと僕は思っています。

かつて『スタートレック』のなかで想像されていた数々の技術が、その熱心なファンの手を通じて現実化されていったことはよく知られた話ですが、我が国では『ガンダム』という作品がそのような役回りにあるかのようです。世代を超えてこれにお金をつぎ込む層がいればこそ、こうした経営戦略が成り立つ話となるわけですが、そうした意味では、このバンダイという会社(あるいは「ガンダム」のおこぼれに預かろうとする企業)というのは、そうした世代がある限り安泰であって就職先としては狙い目なのかもしれません。

この間も大阪のどこかで、ガンダムのプラモデルの箱絵を「ボックスアート」と称して、ひとつの美術作品として扱う回顧展が開催されているというポスターを目にしました。いったいどこまでこのガンダム・ワールドが展開するのか一寸末恐ろしく感じる話ですが、今の日本という国においては個人的な趣味・嗜好のために果てしなく欲望を追求する大人が多く存在し、しかもそうした欲望をひとつの背景としながら技術立国化が進んでいる典型的事例であると思います。

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コメント

アムロ世代の惟光です(^^)/ いや、「ウルトラ講義」をしてしまった惟光です(>_<)。
なんだかんだいって、先生、ガンプラにお詳しいようですケド(^▽^)!
先生も趣味、広いですねー。

惟光様、コメントをありがとうございます。回答が遅れ申し訳ありませんでした。惟光様の「ウルトラ講義」を読ませていただき、大変興味深く思いました。僕は以前なにかのドラマだったか、ドキュメンタリだったかを見て、金城哲夫という沖縄人の思いがウルトラセブンに深い影響を与えていたということを知ったくらい(現代史の反映としてのウルトラマン)で、あまりウルトラマン関係は詳しくはありませんが、「ウルトラ講義」の前半部分に説明されていたポケモン/水戸黄門/ウルトラマンの共通性はなるほどと唸りました。学生たちと話していて残念なことは、ウルトラマンだろうが、ガンダムだろうが僕たちが知っているものと学生たちが知っているものとの間に大きな断絶があることです。(僕は好きな松本零士ワールドになると、すでに宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999は学生たちにとっては完全に「無」です。)ウルトラマン/ガンダム・ワールドとしては一つの構造を有していても、その理解のされかたは多様あるいは世代により断片的であるといった感です。一様な解釈が示されないところ、確実に興味深い対象ではあります。

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