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2005年5月19日 (木)

興奮しています!

先日の日本西洋史学会では、それとは別に開かれた研究会で東京大学の近藤和彦教授が"Lost in Translation?"という題目でとても興味深い報告をされ、そこで近藤先生が最近「劇的」に出会われた(見いだされた)史料について熱く語ってくれました。研究生活をしていると、ときに普段の公務の忙しさを忘れて「あぁ、歴史勉強していて本当に楽しい!」と思う瞬間があります。そうした幸福な瞬間にはそうそう巡り会えるものではありませんが、実はそうした知的に興奮できる体験があってその楽しさと意義を還元してこそ、充実した研究と充実した教育の現場が開かれるのだと、近藤先生の報告を伺いながらあらためて勉強させてもらいました。

実は僕もそうした興奮を今味わっています。子供が産まれた直後、学会のあとの知的関心がブラッシュアップされた直後ということがあるかもしれませんが、数日前スウェーデンから届いた史料のなかに17世紀スコーネにおけるゲリラ闘争でのゲリラ部隊の編成名簿を発見したのです!

スカンディナヴィア半島南端のスコーネ地方にあるルンド大学へ留学していたときから、僕の関心事の一つに17世紀のスコーネで頻発したゲリラ活動という対象があります。17世紀にスコーネはデンマークからスウェーデンへ領土替えがあって、スウェーデンは現在のように南北に長い領土となります。しかしルンド大学のH.グスタフソン教授が主張するように当時の国家は帰属意識を異にする様々な文化的・政治的・社会的共同体が複合的につながる構造をもっていました。スウェーデンと言えば、グスタヴ2世アードルフが三十年戦争に参加していらい合理的な戦争経営の仕組みをもった軍事国家の典型と理解され、その代表的組織として軍隊が常に挙げられるわけですが、実際のところスコーネなどでは伝統的な社会的異議申し立ての手段の延長線上にゲリラ活動があったことが知られており、この事実を分析すれば、理論的枠組みとしてグスタフソン教授の言う「複合国家」論を背景に据えながら、先に紹介した集約的な近世スウェーデン国家観に対して、まさにそうした典型的見方を用意した軍隊の観点から批判を行うことができるのです。

すでにスコーネ北部のいくつかの郡におけるゲリラ闘争参加者のリストは見いだしていましたが、まさか部隊編成まででてくるとは思わなかった!このスコーネにおけるゲリラ闘争は近世北欧における最後の大規模な民衆騒擾という点でも重要ですし、ひろく「軍隊と社会」の歴史という観点からすれば、初期的な近代国家における非正規軍の問題とも通底します。非正規軍の存在というのはあまりこれまで研究の対象とはわれてきませんでしたが、地域社会の利害を代弁し、地域社会における正統性を確保したからこそ、地域社会においては中央の正規軍以上に国家機能を国家の周縁部で補完する性格が強かったという見方もできます。単純に近代国家が暴力手段を一元的に独占していったと考えるのではなく、近代以前の複合的な地域アイデンティティの重層的存在を考えるならば、そうした複合性を基盤として国家機能を補完する組織があったとも考えられるということです。

さぁ、この史料をどうやって料理してやろうか!忙しいけど、こんな興奮できる素材にはなかなか出会えない!

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