最近のトラックバック

2020年3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« デンマーク歴史ゼミ、スウェーデン歴史ゼミの参加者へ | トップページ | ハンネさんの論文落手 »

2005年4月16日 (土)

歴史ゼミの新機軸

今年度から大阪外大における北欧史ゼミは、形式上人数増加を理由にデンマーク歴史ゼミとスウェーデン歴史ゼミに分かれたのですが、こうすることで大阪外大着任以来あたためてきたプランを一つ実行しようと思っています。

それは北欧史に共有される歴史的問題に対して、デンマークの歴史学研究者とスウェーデンの歴史学研究者がそれぞれどのようにアプローチし、解釈を示してきたのかを、デンマーク語・スウェーデン語それぞれの研究論文を読むことから比較し、年に何度か大阪外大のデンマーク歴史ゼミとスウェーデン歴史ゼミで合同セッションを開き、お互いに議論を闘わせてみるというプランです。これまでは専攻語の違いがあって、北欧史ゼミではデンマーク語の学生もスウェーデン語の学生も読める英語論文を使ってきましたが、両者が分割されることによってようやくそれぞれの専攻語で、それぞれの歴史学界を反映した論文を読めるようになりました。

今年のテーマは「近世北欧におけるスコーネ」。大阪外大の学生のみなさんにはお馴染みだと思いますが、スカンディナヴィア半島南端のスコーネ地方は、17世紀半ばに形式上デンマークからスウェーデンへと領土替えがあって、従来の国民主義的な歴史解釈に従えばその後18世紀初頭までに「スウェーデン化」が進展したというわれている地域です。この時代にあって、いきなり僕たちの時代の人間が当然視しているイメージを押しつけて、スコーネの人々は「デンマーク人」から「スウェーデン人」へ変わったのだと捉えるのは、その時代の社会的背景を無視した短絡的で横暴な議論です。そこで当時のスコーネ社会をふりかえることで、そこに生きていた人々の自己意識がどのようなものだったのか、はたして彼らは自分たちをどういった社会に生きていると意識していたのか、その具体的な様子を論じてみたいと思っているのです。例えば今回スウェーデン歴史ゼミで読む論文は、スコーネの貴族たちのアイデンティティを論じたものです。

今年のテーマで大阪外大の学生のみなさんに読んでもらう論文集は、この近世スコーネをめぐるデンマーク=スウェーデン関係についてスウェーデンのルンド大学や、デンマークのコペンハーゲン大学などに属する研究者たちが進めてきた共同研究プロジェクトの成果です。それは「東デンマークは南スウェーデンになった」と題されたプロジェクトで、2003年に完成されたものです。最近の北欧はEU統合や移民流入などが進んで、従来のように自分たちを単純に「デンマーク人」だとか「スウェーデン人」だとか思えない状況が生まれてきています。「自分たちは何者なのか」という問題関心は北欧における歴史学研究にも反映されていて、例えば国境線を超えた共同研究という研究のかたちで、帰属意識の「境界」を問う「スコーネ」などがホットな研究テーマのひとつになっているのです。ただ歴史学者も自分の生きている環境に大きく影響される人間ですから、ある一つの歴史的事実も学者が生きる時代、環境によってその解釈はいろいろとありえます。スコーネの問題も、やはり時代とともにその意味が変わってきているのですが、今回デンマーク歴史ゼミで読もうとしているのは、スコーネを失った側のデンマークの歴史家がこの問題を今に至るまでどのように解釈してきたかというものです。

長くなりました。一緒に勉強しましょう。

« デンマーク歴史ゼミ、スウェーデン歴史ゼミの参加者へ | トップページ | ハンネさんの論文落手 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 歴史ゼミの新機軸:

« デンマーク歴史ゼミ、スウェーデン歴史ゼミの参加者へ | トップページ | ハンネさんの論文落手 »