最近のトラックバック

2020年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

トップページ | 2005年5月 »

2005年4月

2005年4月30日 (土)

伊丹空港に“虎”

GW2日目は伊丹空港へ散歩。古谷家はよく空港へ散歩に出かけます。空港は飛行機を見てぼーっとと時間を過ごせますし、面白いものが売られていたり、美味しいものを食べられたりする。仕事を抱えているときは無線LANなんかも使えますし。それから伊丹空港には北欧風味な家具、インテリヤ、雑貨が豊富に揃っているACTUSという大きなお店が入っていて、ここも結構楽しめます。

(というわけで僕としては空港判断の基準のひとつは「どれだけ楽しく時間を過ごせるか」になりますが、そういう意味では国内の空港では羽田や伊丹はがんばっていますね。ダントツでつまらないのは関西空港です・・・大阪経済・大阪府政・大阪市政ともに「水没」しないことを祈ります。)

普段居酒屋さんなどへ行っても刺し身こんにゃくとか、豆腐とかしか食べない僕の今年のテーマのひとつは美味しいハンバーグを探して肉に目覚めることなのです。これまで北摂界隈を結構探し歩いていてもなかなか「これは!」という店に出会えなかったのですけれど、今日伊丹空港の中央ターミナルビルにある収穫祭という飛行機の見えるレストランで食べたハンバーグは久しぶりにとても美味しいと感じました。添え物のラタトゥーユも美味しかった・・・伊丹空港に立ち寄った際には密かにおすすめです。

それに対していただけないのはスターバックス。と申しましょうか、そもそも僕は世界中どこへ行ってもスターバックスには祟られています。繁盛しているのはさすがと思いますが、混み合っているのをよそにサービスをないがしろにするのはいけません・・・ロンドンでも、東京でも、大阪でも。シアトルズベストのような競合店は及第点なのに、なぜかいつも苛立たせられる店はスターバックス。コーヒーはまぁまぁかもしれませんが、大体パンはいつもパサついていて美味しくない。

さて伊丹空港から帰ってきてみると、Appleから鳴り物入りで発売された新しいOSであるMacOS X Tigerが届いていたので下調べもなしに早速インストール。PowerBook G4自体にまだごちゃごちゃとファイルが入っていなかったこともよかったのでしょう・・・小一時間であっけなくインストールに成功。全文検索可能なSpotlightも、ミニアプリの集合体であるDashboardも問題なく使えています。個人的にはMacOS X標準のMailソフトのインターフェースが激変したことに当惑しています。

やはり一番関心した点はSpotlight。これはWindowsでいうGoogle Desktop Searchと操作感はかわりませんが、OS標準の全文検索機能をシステムと統合させる形で搭載してしまったところは偉い! システムと統合されたことで、例えば僕はMacOS Xでのメールソフトは標準のMailで行こうと決めたくらいです・・・これならば整理していなくてもあとから一気に検索して目的の情報にたどり着けますからね。

ですがやはり最初は検索対象ファイルのインデクス作成が必要で、HDDに保存されたファイルが多いとこの作成時間には膨大な時間が必要になりそう。文系研究者としてはこうした検索ソフトは重宝しそうですが、基本的にはテキスト系のファイルとMicrosoft Office系、PDFファイルの全文検索が可能そう。ただし同じAppleのソフトなのにKeynoteの全文検索に対応していないのはどういうことでしょう・・・プレゼンテーションはPowerPointでということでしょうか。

大阪は“虎”で熱くなっています。

2005年4月29日 (金)

OCRその後

一応OCRの結果をご報告します。Acrobat 7.0 StandardでもOCRできました。手元に適当なスウェーデン語の論文がなかったので、デンマーク語で試しましたが。とはいえ、読み取り速度がOCR専用のソフトと比べると若干遅いこと(これはハードウェアの問題かも知れません)、読み取り精度がちょっと雑かなと感じられること(これはスキャナ取り込み時の解像度をあげればなんとかなります)の二点をちょっとした問題と感じました。でもOCRはそれほどちょくちょく使うものではないですから、これで十分いけると思います!

それからせっかくBluetoothを搭載したPowerBookなので、自宅に余っていたLogicool社のコードレスプレゼンターBM-1000をマウスがわりにつないでみました。確かにMacOS X用のドライバはないのですが、それはそれBluetoothですからマウスのハード情報は当然MacOS X側にあるわけで、コードレスマウスとしてはスクロールも含めて完全に機能しています。しかしながらプレゼンターとしては前後進行ボタンがうまく作動しないですね・・・こればかりは残念。

環境移行(ほぼ)完了

今日は午後から息子が大阪モノレールに乗りたい(朝、見に連れて行ったばかりなのに)というので千里中央まで散歩。かなり暑かったのですが、暑さにめげずついでにWillcom社のPHS端末をAH-S405CからAH-F401Uに機種変更。これでPowerBook G4の外出先でのネットワーク接続手段が確保されたので、ほぼ環境移行は終了しました。Bluetoothな3G方式携帯電話での通信はパケット通信代の問題もありますので、今しばらくは安価なPHSで様子を見ます。

というか日本の携帯電話にBluetoothが本格的に普及する日は来るのでしょうか?去夏スウェーデンに滞在したときにルンド大学の友人が嬉々としながら「大輔!どうだ!僕はBluetoothの携帯電話に替えてMacと無線でやりとりしているよ!」と語っていたけど、その姿が実に羨ましく思えました。日本の携帯電話はなんだかとんでもない独自路線を突っ走っていて、世界標準の規格からはかけ離れています。最近の3G方式ではかなり近づいてきたといわれますが、それでもBluetoothを内蔵させたような端末はほとんどありません。だいたい日本企業のつくる工業製品ってのは、どれもこれもコンセプトデザインが曖昧薄弱であって、それを補うところで無駄な機能を肥大化させただけのものばかりです・・・携帯電話がその代表。

ところで上で紹介したルンド大学の友人もやはりMacな人・・・そもそもルンド大学はパソコン草創期に大学全体でApple社の端末を導入したことからMacユーザが潜在的に多いそうなのですが・・・この間、久しぶりに東大の本郷キャンパスを訪れたときに、法文2号館で学生用の端末がすべてiMac G5(しかもキーボードが・・・僕も研究室で愛用の・・・Happy Hacking Keyboard)だったのには驚きました。それ以上に赤門入ったところにできた東大の広告センターみたいな小洒落たお土産物やさん(東京大学コミュニケーションセンターっていうですね…)で、東大農学部のつくった泡盛が予約殺到中で僕みたいな一見者に売れる分がないと言われたことにも驚きました。沖縄戦で失われる以前の泡盛で使われていたという黒麹菌(これが東京帝大の研究室に標本として保存されていたらしい)を使った泡盛の味とはどんなものなのだろう・・・か、Macなんか以上に興味があります。

東大はお金を稼ぐのがとても上手ですね…結局、 "UT"ロゴの入った携帯ストラップだけ買ってきましたけど…やっぱミーハーですかね。

古い資産の効用

ゴールデンウィーク初日、朝早く息子に起こされ近くの駅へ大阪モノレールを見に連れて行きました。

その間、自宅のPowerBook G4の環境構築も同時進行。Virtual PCにはとりあえずWindows MEの英語版を入れ、スウェーデン語関係のアプリケーションを網羅的にインストール。ふとここで「文字化けしても良いから、仮想CD-ROMソフトを入れてみたらどうなるか?」と思い、おもむろに携速8を入れてみたらこれはWindowsの動作モジュールの言語をインストール段階で判別してしまうため、英語版では動かず。そこで死蔵されていた古いバージョンの携速を入れてみたらばっちり英語版Windowsでも走りました。というわけで、これでもってスウェーデン語のNationalencyklopedinもNationell arkiv databasもSvenskt biografiskt lexikonも仮想CD-ROM化して、MacOS X上のWindows MEで無事に動かせることができるようになりました。ということは、つまり研究ツールとして僕が必要なスウェーデン語関連のレファレンスはすべてMacOS Xでも動いているということです。

それにしても今回は古い資産にたくさん助けられています。そもそもWindowsはMEの英語版ですし・・・エミュレータで動かす場合にはWindows98 SE以上、Windows2000以下をおすすめします。周辺機器の関係でWindows95はUSBなどが使えないなどの不具合があり、やはりWindows XPはエミュレータには荷が重すぎます・・・携速はだいぶ以前のヴァージョン7。携速にこだわる理由は、院生時代からの資産がそれでつくられていることと、とにかく「CD-ROM辞書好き」な僕は常時9枚くらいはCDを使いたいのでZドライブまで仮想化できる携速が好都合ということがあります。Nationalencyklopedinだって最新版ではCDチェンジャーをインストール段階で認識しない構造になっているので、6枚のCDを一気に仮想化するには古いヴァージョンのほうが良い・・・。

というわけで古いソフトウェアは意外と価値があるものです。

それからもうひとつの意外な利点!エミュレータで動かすWindowsを英語版だけにしましたので、これまで入出力の段階で文字化けして使えなかったスウェーデン語のソフト(Skribentなど)が使えるようになりました・・・。でもってVirtualPCというソフトウェアは大変親切で、MacOS Xの下部にあるDockというプログラムランチャに、な、なんとWindowsのスタートメニューまで作ってくれます。つまり操作感はWindowsとかわりなくMacOS XでWindowsのソフトを動かせるということ・・・むー、これはすごいんでない!?

Windows XPでこれまで培ってきた環境と全く変わらなくなりつつあります。

2005年4月28日 (木)

こりゃ、すごい!

電子辞書なんですが、電子辞書といえばセイコーインスツルメントなんですが、それは絶対だと思うのですが…収録辞書が「えらいこっちゃ!」になってる辞書が発売されるみたいですね。SR-E10000っていうらしいんですが、英語圏を勉強されている方なら、これは最強でしょう、完璧でしょう…しかし値段は極悪非道ですねぇ…フラッグシップってのは、まぁいつも高価なもんですけど、収録辞書数を考えれば大変なお値打ち品ということになるんでしょうね。

ところでコンテンツを追加できる「シルカカード」ってのは、なんなのでしょう?SDカードではないみたい…。

MacOS XにおけるOCR

昨日このブログでOCRの問題を発しましたら、国際基督教大学にいらっしゃる那須敬さんから丁寧なご助言をいただきました。那須さんは、Adobe Acrobat 7.0 Professional のOCR機能をお使いとのこと。スウェーデン語の取り込み機能もしっかりとあるそうです。僕が使っているのは7.0 Standardなので単純に同じとは言い切れませんが、ゴールデンウィークに入ったら僕も早速試してみようと思います。

ところで那須さんが作られているサイトを見れば、一目瞭然、那須さんは大変クールでスマートな歴史学者・教育者でいらっしますが、それを支えている技術的基盤はMacです。那須さんのご発言のひとつひとつはとても興味深いものばかりなので、こちらのブログで紹介させていただきます。(那須さん、今後ともよろしくお願いいたします。ご推薦のプレゼンソフトKeynoteもいずれ手に入ったら試してみますね!)

うーん、それにしてもネットの威力ってすごいですね、「打てば響く」とはまさにこのこと。でもそれを支えているのは決して技術ではなく、例えば今回のことのように研究者仲間同士の人と人とのつながりであることは忘れてはなりません…それはとてもありがたいものです。

2005年4月27日 (水)

連合解体100周年

今年は結構な歴史イヤーで、例えば日露戦争終結100周年だったり、アンデルセン生誕200周年だったりするわけですが、北欧史的にはスウェーデン=ノルウェー同君連合の解体(ノルウェーから見れば近代王国としての完全独立達成になるでしょうか)100周年が大きいトピックです。

冷戦終結やヨーロッパ連合の拡大にともなって北欧諸国の歴史学界では、自己意識の再検討がホットな議論となりしばらく続いています。(昨年のストックホルムにおける北欧歴史家会議での全日セッションの一つがそうしたテーマでした。)こうした動静を反映して、今年は連合解体に伴うノルウェー意識やスウェーデン意識の現代的変容(あるいは創生)が語られる年になりそうです。

実は今日大阪外大のほうへNordisk tidskriftの最新号が発注もしていないのにポンと送られてきたのですが、(結局それが誰宛かわからなかったので、実に興味深い特集でしたらからS先生おご配慮で僕のところに置かせてもらえるようになりました…S先生、ありがとうございます!)その特集は、まさに上で述べた連合解体についてです。スカンディナヴィア主義と絡む論文などもあって面白そう。

誰か知り合いが寄稿しているのかなとか、編集に携わっているのかなと思ったのですが、そうでもない。まぁ、このあたり鷹揚なところがまた実に北欧的なので「よし」としましょう…と思って今ちょいと目次を読んでみたら、昨年8月の第25回北欧歴史家会議の報告とこの100年の北欧諸国における学術協力に関する文章があって、これから推測するとそれに参加した人たちにこの雑誌が配布されたのかもしれません。(それならば、僕が所有する権利があります!)

PowerBook G4と今抱えている課題

PowerBook G4がようやく届きました。えらく時間がかかったので発送元を知りたかったのですが何事にもシンプルなApple社の通知ではそれが全くわかりません。

PowerBook G4がインダストリアル・デザインとして非常に秀逸なデヴァイスであることは言うまでもありません。そうした感想はまたおいおい話すとして、今現在着々と環境構築を進めているなかで僕が直面している課題を記します。もしどなたかMacOSにお詳しい方がいらっしゃったら是非ご教授ください。

早急に解決したい問題としては、スウェーデン語を含む多言語に対応したOCRソフトが見つからないということです。MacOS Xに対応した多言語OCRソフトとしては、OmniPage Proがあるわけですがこれが異常なまでに高価で10万円もします。こんな値段では、お金のない文系研究者には手が出ません。そこで現状では、VirtualPCでWindowsを走らせてWindows上のOCRソフト(例えばTextBridge Proなど)でやってみようと思っています。

Macな人たちはこの問題をどう解決しているのでしょう?最近はAcrobatが結構高機能で使えるソフトになっており、例えばPaperCaptureというOCR機能もついていますから、それで対応できるのでしょうか?まぁ、いろいろ試行錯誤してみたいと思います。

そういえばうちの2歳になる息子、りんごをみるといつもなぜか「アポー」と言っているのに、Apple社のロゴマークを見るとそのときばかりは「りんご」と言っています。どうしてこんな逆転現象が起きているのか、これもまた不可思議です。

なぜスウェーデンにシンフォニストが多いのか?

新学期の疲れがドーッとでてきた今日この頃、余り確証はありませんが音楽でも聴きながらボーっと考えたことを記します。

先日ペテション=バリイェルというスウェーデンの作曲家の話題を書きましたが、19世紀から20世紀にかけて活躍したスウェーデンの主だった作曲家は大抵熱心な交響曲作曲家でもあったことが知られています。ペテション=バリイェルは5曲、スウェーデン近代音楽の扉を開き最近は日本でもたまに演奏されるまでになったステーンハンメルは断片を含めて3曲、かの富田勲が作曲したNHK教育『今日の料理』のテーマ曲に第一主題が似ているスウェーデン狂詩曲第一番が有名なアルヴェーンは5曲、シューベルトの「未完成」交響曲を完成させる(!)という素っ頓狂なコンクールで優勝した「1万ドル」交響曲で知られるアッテルバリは9曲…といった感じです。

19世紀おわりから20世紀はじめの作曲家は、どこの国でも大抵若い頃は熱烈なワグネリアンになり、ドイツ音楽の手法に憧れ交響曲を若書きするものの、年をとって落ち着いてくると独自の作風を築いて交響曲のような形式からは離れていく傾向がみられます。またかのバーンスタインの言葉を借りれば「20世紀は交響曲にとって受難の時代」なのであって、大抵は交響曲は古くさい様式と思われていたと思います。それなのに、なぜスウェーデン人は交響曲にこだわったのでしょうか?

ここで僕たちは、19世紀以降のスウェーデンやドイツに生きた人たちの自己意識が、お互いに自分たちにとっての歴史や文化の遺産だとか、伝統だとか考えていたものを混じり合わせながらつくりあげていった道程を振り返る必要があります。例えば、スウェーデンの場合、自分たちの祖先と信じた“ヴァイキング”の表象の多くが、同じ時代のドイツにおけるロマン主義美術でつくりあげられたモチーフをもとに意図的に“再構築”されたイメージであることが知られています。そもそもヴァイキング活動に従事した人たちの実際のイメージ(…例えば『小さなバイキングビッケ』なんていう昔のアニメに見られるような角の生えた兜にモジャモジャの顎髭といった荒々しいイメージ…)は、ヴァイキング活動に生きた人々が自らの手で文字や絵画を残さなかったためによく知られていないのです。そこで19世紀スウェーデンの知識人や芸術家は、同じ頃のドイツでつくられていった古ゲルマン文化のイメージ(それもまた想像の産物でしたが)を借りて具象化していきました。

それに対して19世紀ドイツでも、北欧の歴史や文化への記憶を利用して自分たちは何者の末裔なのかという話をまとめあげていきます。文化面ではゲルマン(というかチュートンといったほうがピンときますが)文化の原風景が北欧神話のモチーフと混淆しながら作り上げられました。その極致が、ワーグナーの『ニーベルングの指輪』であることは言うまでもありません。また19世紀におけるドイツの政治的統一がプロイセンを中心に実現したものですから、来るべきドイツ帝国では北ドイツにおけるプロテスタント信仰を守った“英雄”としてスウェーデン王グスタヴ2世アードルフへの崇拝熱が高まりました。グスタヴ=アードルフは軍人王、フリードリヒ“大王”らとともにドイツ帝国をつくりあげた系譜につなげられたというわけです。

こうした19世紀以降の自己意識の作り上げられ方に見られたスウェーデンとドイツとの間の文化的混淆と、それによってつくられていった両者の近しい距離感が背景にあってこそ、さまざまな音楽様式のなかでもベートーヴェン以降なんとなくドイツ的様式と“神話化”された感のある交響曲がスウェーデンの作曲家たちに積極的にとりいれられていったことは、(あくまでも僕の想像の域を脱しませんが)想像するに困難なことではありません。文化的な親近感もそうなのですが、例えばそれが政治的なものとなれば20世紀スウェーデンにおけるナチス・ドイツへの親近感(これがあってこそ第二次世界大戦のときのドイツ軍の国内通過を認めたという背景も理解できる)や、現代スウェーデン社会の骨格となっている労働運動の源流としてのドイツといった理解も可能になってきますね。

つまり文化はもとより政治的問題でも、社会的問題でもスウェーデン固有のものと思われがちな価値には、その裏で意外と多くの外来要素が入り込んできているという次第。スウェーデンの場合これはドイツ的なるものが多いわけですけれど、お隣りのデンマークはどうかと問われれば、これはドイツ以上にイングランドですね。日本ではスウェーデンとデンマークはなんだか「兄弟国」のように思われていますが、それこそ“幻想”です。両者は近親憎悪的にお互いを強く意識して、相反した歴史的・文化的過程を辿っているのが現実です。例えば、デンマークにとってのドイツは、なにせ南ユランの国境問題が直接近代デンマークにおけるナショナル・アイデンティティの問題とつながりましたから常に大きな“壁”であり、スウェーデンのような親近感はなかった…ってこの話、続けていったらとまりませんので、イングランドとデンマークの親近感とかの話はまた別の機会にしましょう。

2005年4月26日 (火)

現代北欧地域論4・ 北欧文化講義II

再来週5月10日の講義ファイルをアップします。来週5月3日は憲法記念日でお休みです。我が国では現行の憲法に対する論議がいよいよ本格化しそうな情勢ですが、時には「そもそも憲法とは何か?」を考えてみてはどうでしょう。この歴史の講義でも「憲法」について説明する機会がいずれ訪れると思います。

第4回 「複合国家」論と北欧の連合王国 をダウンロード

2005年4月25日 (月)

地域研究VIII

次週5月2日の講義ファイルをアップします。巷はゴールデンウィーク中ですが、お互いに「学問」しましょう。

第4回 スウェーデンは「福祉国家」か? をダウンロード

Peterson-Bergerやってます

現在、講義ノート作成中。で、SR Klassisktを聴きながらなんですが、今ヴィルヘルム・ペテション=バリイェルの4番交響曲「ホルミア」やってます。ペテション=バリイェルは19世紀末から20世紀前半に活躍したスウェーデンの作曲家ですが、フィンランドやノルウェーやデンマークと比べると国際的に目立って有名な作曲家のいないスウェーデン(ステンハンメルとか、アルヴェーンとかがかろうじて知られるくらいですかね)のなかでは個人的に一押しの作曲家です。スウェーデンの高級全国紙Dagens nyheterで長く音楽欄の執筆主幹を務めていたとか、ストックホルム・オペラの音楽監督をしていたということでも知られていますが、彼の曲では例えば『フレーセー(フレース島)の花』なんていうピアノ小品集が比較的入手しやすく(NAXOSで簡単に手に入ります)、聞きやすいので一押し。とくにこの曲集の第一集にある「夏の歌」は、昔スウェーデンにいたときに「帰路の音楽」という番組のテーマ曲だったこともあって、よく耳にしていて個人的にとても懐かしい曲です。で、彼はシンフォニストでもあったわけで現在5番交響曲くらいまでは聴くことができます。なかでも今聞いていた4番「ホルミアHolmia」というのはストックホルムの古名「ホルミア」を標題としています。(彼の交響曲にはみな標題がついていますが。)彼の作風に影響を与えたのはグリーグだともっぱら言われていますが、20世紀初頭の曲にしては構成が古典的な意味においてしっかりとした、それでいたメロディアスな旋律の穏やかで美しい曲です。

2005年4月24日 (日)

Go on →

我が家では(単に僕の好みだと言えばそれまでですが…テレビを見ているのがそもそも僕一人なので)地方ローカル局のテレビ番組がよく見られています。

日曜の夜といえばKBS京都の『Go on→』という番組です。Intercollegiate TVという副題があるのですが、はやいはなし(主に)京都の大学生たちが巷にあるさまざまな話題についてレポートを報告しあって作られている“サークル活動の延長線”的な番組で、京都の大学生事情とかそれなりにわかって楽しいです。

最近の在京キー局がつくっているバラエティー番組の多くは、きまりきった出演者にきまりきった演出…とすでに評価が定まった価値に安住してつくられている、安易で冒険の少ない番組ばかりですが、それに比べるとこの番組は不安定な要素ばかりで構成され、多いに野心的なつくりといえます。この番組は司会の西村和彦さん(京都出身の俳優さんですね…このブログでは「第三の和彦」になりますねぇ…)や平野智美さん(KBS京都のアナウンサー)らがしっかりしているからはじめて公共の電波に乗せても「まぁ見られるかな」と成り立つ番組で、今時こんなチープなつくりの番組もめずらしい。今の学生気質を反映して学生たちはちょっとつっこまれるとボロボロになってしまうのもまた見所(?)で、その「もろさ」具合に対して僕はなんだか親御さんになったように暖かいまなざしを投げかけながら見ています。

例えば、今晩は同志社大学の新しい学生会館(寒梅館)の紹介にはじまり、愛知万博レポート、ハリウッド版Shall we dance?の紹介、今話題のハングル講座…と、筋書きも脈絡もなく、なんだかゴッタニ状態で番組が進められていますが、この手作り感覚がまたたまりません。最後には「文化系でいこう!」なんていう、人文系研究者にとっては涙ものの企画やってました。しかし関西外大でも驚きましたが、同志社大学の学生会館はすごい豪勢なつくりで、さぞかし学生たちは眩惑させられるでしょうねぇ…大学の性格や規模が違うとはいえ、大阪外大とは比べものになりません…(こんな感じでおなじ大学業界に生きる者としては貴重な情報収集の手段の一つとなっている番組でもあります。)

というか、今晩のGo on →には大阪外大生が出ていました!ということはこの番組に参加できるのは京都の大学関係者だけに限られていないということですねぇ…じゃぁ声がかかればレポーターとかしましょうか(笑)…しかし…今番組の終わりでスタッフ募集の告知をしていましたが18歳以上の学生じゃないと駄目なんですと!

それからこの番組には司会者のひとりに、まだあまり名前の知られていないグラビア系の女性タレントが(なぜか?)出演していたことも不可思議で興味深かったですね。初代から数えて熊田曜子さん→夏川純さん→海江田純子さんときていて、皆、この番組を踏み台にしてステップアップしていった感じがします。この春からは志向がかわったようで、スタジオを抜け出して毎回京都各地の大学の現場から司会者二人をメインに放送するようになったみたいですが、なかなか京都の大学のすべてをまわることなどできませんから、そういう意味でも今後の展開を楽しみにしています。

Go on → 関係者のみなさん、がんばってください…(人知れず)応援しています。

PowerBook G4は今何処?

今日は初夏の陽気に誘われて、電車好きな息子を連れて大阪モノレールと阪急電車を乗り継いで梅田まで行ってきました。最近この息子はテレビ好きの父親へ当てつけるように、「絶対にテレビは嫌だ(…「絶対に」のかかりかたが正しい日本語です…)」と言うので、書斎の机でテレビを見られるようにMacOS X用のTVチューナを買ってきました。

梅田といえば、夏場になると駅構内にビールのスタンドが並び始めるんですよね…。一杯200円とか、300円とか。今日いったら今年はじめてこのスタンドを見かけたので、一杯だけ飲んで、一足早い「夏」を感じてきました。

(関係ないですが、最近は発泡酒が隆盛ですけど、ビールも麦芽量を増やしたりホップ生産地に特徴をもたせ、チルド出荷で賞味期限のあるなかなか美味いビールが飲めるようになりましたねぇ…アサヒの極とか、エビスの長期熟成とか、サントリーのモルツ・スーパープレミアムとか。普段僕は副原料に米のはいっている苦みのきつい昔ながらのキリン・クラシックラガー党ですが、結構それらもおいしいと思っています…。なかでもアサヒの極が個人的には好きですが、どれも美味いので最終的にはその日の体調と気分の問題です。本当はね…本当は、アサヒのアサヒプレミアム生ビール熟撰っていうのが一番おいしいと思うのだけど、このビールばかりは飲めるお店が限定されていて普段なかなかお目にかかれないので…残念です。)

しかしですね…着々とMacOS Xの環境を整備しつつあるのに、肝心なPowerBook G4が届かない!もう発注から一週間ちょっと経ってますが。先週水曜日に出荷完了の連絡が届いたのですが、なにやら海外の工場から届くらしくBax Global とかいう運送会社のトラッキングナンバーが送られてきましたが、どうやてもこの番号で検索できず荷物は行方知れず…挙げ句の果てにAppleStoreへ電話で尋ねてみたら「27日まで待ってみてください」とのこと。

一体いつ届くのでしょうか。

携帯電話も良いけれど…

昨日のPDA訣別については各方面からコメントが寄せられています。僕自身にとってはPDAについては、平知盛の如く「見るべきものはすべて見た…」といった感じで「壇ノ浦の水底」に沈めてしまっても良いと思っています。もはやPDAはデジタルツールとしての旬を過ぎ、かつてカセットテープやビデオテープが廃れたように、個人情報の管理ツールとしては携帯電話(あるいはスマートフォン)にとってかわられるべきものなのかも知れません。

さて携帯電話と言えば、最近の学生諸君の活用ぶりには驚かされること、勉強させられることが多々あります。かつてはPDAやメモ帳に記すべきものだった予定やアドレスを、目にもとまらぬ「早押し」で携帯電話に入力する姿からは、ある意味人間の進化過程の現在型を意識させられます。この時期になると新入生が新しい友人を記録するのに携帯電話のカメラを活用してアドレス帳の情報と連動させたりしていますし、授業の基本的な伝達事項など、黒板に書いた内容を携帯電話のカメラでメモしたりしています。

こうした新たな道具を自分なりに有効活用することはすばらしいことです。しかしながら今の携帯電話はハードウェア的にも、ソフトウェア的にも「まだまだよちよち歩きの赤ちゃん」程度の実力しかない感じ(…感覚としては四半世紀前の8bitコンピュータってところかな…)で、それが万能の道具と思ったら大間違いと思います。今の携帯電話の隆盛はi-modeのようなネットワークによる情報活用を背景としてつくられたように思いますが、ネットワークの進化に比して携帯電話の機能はまだまだ追いついていっていません。そもそも日本の携帯電話市場が「島国根性」丸出しで世界的な標準を採用していないところにも問題はあるのですが(…世界的にみるとスマートフォンというPDAと携帯電話の機能を融合させた道具が普及しかけていて、よりパソコンに近い機能を携帯端末で実現できるようになってきています…)、例えばパソコンと比べてみたらできないことがまだまだ多くあります。多言語による電子辞書もそうですし、PDF文書の閲覧もそうです。

最近の学生諸君のなかには携帯電話はよく使えていても、パソコンを使えない人を意外に多く見かけます。「機械音痴なんで…」という学生も目にしますが、携帯電話が相応に使えていれば、パソコンだって使えるはずです。(パソコンは怖がらなくても、そんなに簡単に壊れる「ヤワ」な代物ではありません。)もちろんパソコンは高価な代物ですから個人的に所有することは難しいかも知れませんが、そのかわり今はどの大学にも、図書館にもネットワークに繋がったコンピュータがあると思います。学生諸君の多くは、あと数年もすれば社会に出て企業人として活躍していくと思いますが、ワープロや表計算はもとより、自分の調査報告や企画意図を明確に他者へ伝達する手段としてのプレゼンテーション、あるいはそうした調査・報告の予備作業となるネットワークでの情報収集など、パソコンを活用してはじめて可能になることを今のうちに試行錯誤しながら訓練すべきと思います。

そうしたことについてははじめの一歩を知りたいならば、僕がいつでも教えましょう…そのかわり僕に携帯電話の使い方を教えて下さい…いまだによく文字が打てません。

2005年4月23日 (土)

PDAとの訣別

昨日明らかになった12か国語辞書絶版という事実により、残念ながらPDAで使えるスウェーデン語・デンマーク語の電子辞書を自力で構築する術は、ほぼ閉ざされたと言えるでしょう。それで一晩考えたのですが、学生諸君の手前、できないことを「できる」とは言えませんから、そろそろ僕自身もPDAでの電子辞書環境を捨てて、PDAから撤退しようかと思います。

小さなPDAは一見すると何でもできそうな夢の小箱といったイメージを与えがちですが、それで論文やレポートが書けるわけではありません。PDAはちょっとしたカンニングや暇つぶしをするには確かに便利でしたが、しかし高いお金がかかるわりには生産性のとてもわるい道具だと思います。個人情報はペンと手帳のほうが迅速確実に管理できますし、時刻表は紙切れ一枚を財布に入れておけばすむこと。映画はみられなくなりますが、音楽ならば最近はiPodのような便利なものもあります。つまりPDAなんてなくても、日々の生活や仕事に困らない!このようなものに数万円かけるならば、中古で状態のよい薄くて軽いノートパソコンを買ったほうがずーっと生産的です。

今使っているhp iPAQ hx4700はすでに傷だらけで「歴戦の勇士」といった感じですから、(もはやネットオークションなどに出しても二束三文でしょう…)これはこれで潰れるまで使いますが、それでPDAは終わりにします。

2005年4月22日 (金)

12か国語辞書は絶版!?

衝撃の事実です。

今日のオフィスアワーの時間、このブログを読んでくれていたスウェーデン語の学生が僕の研究室を訪ねてくれて、PDAによるスウェーデン語辞書やデンマーク語辞書の話をしていました。

PDAで電子辞書の環境を作る場合、閲覧ソフトのほかに検索の対象になる辞書データが必要になるのですが、これに利用可能なスウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語、フィンランド語、オランダ語・・・の辞書データといえば、三修社が発売してきた12か国語辞書というソフトに所収されているデータだけでした。しかもこれに所収されている辞書データは、例えばスウェーデン語の場合Esselte社のもの、デンマーク語の場合はGyldendal社のものでその国では定評のある辞書でしたから重宝していました。ところが今日学生たちにこの辞書ソフトを紹介しようと思ってネットをいくら検索しても出てこない・・・。「これはひょっとしてまずいかなぁ・・・」と思っていたら、案の定、絶版になったらしいのです。ということは、これからPDAでスウェーデン語やデンマーク語の電子辞書環境を作り上げたい学生たちがいたとしても、そのもとになるデータは手に入らないということです。なんたることか!

学生のみなさん!もし多言語の電子辞書環境を作り上げたいと考えていて、まだこの辞書ソフトをもっていなかったとしたら、これからはネットオークションなどでこのソフトが出品されるのを待ち確実に落札するか、パソコンショップや書店の片隅で埃をかぶっているものを見つけたら即座に確保するしかありません。

このような有用なソフトウェアの復刊を切に希望します。

全国居酒屋紀行

僕はテレビが大好きで、ナンシー関亡き今、例えば『放送文化』をはじめ文化史的観点にたったテレビ批評を依頼されれば、いつでも受け答えできる心づもりでいつもテレビ番組には接しています。それこそ各局専用に一台づつテレビをおきたいくらいなのですが(大画面のマルチ画面分割では複数局の音声が入らないのでだめです)、狭い官舎ではそれは夢です。

さてそんな僕が最近一押しの番組は『全国居酒屋紀行』です。老舗の居酒屋やショットバーを紹介して全国を放浪する番組ですが、ただひたすらレポータの太田和彦氏がほんとーに幸せそうに飲み、食べまくるだけ、そして朴訥だけど酒を飲む楽しみや幸せを実感できる彼のコメントに心いやされる番組です。基本的には太田氏だけが番組に添え物のようにでてくるだけで、主人公は居酒屋やバーそのもの。「ワーワー」とわめきたてるだけのグルメ番組とは一線を画した番組です。(本来はスカイパーフェクトTVの番組らしいですが、僕は神戸のローカル局サンテレビでみています。)

この番組で先週紹介していたのは名古屋栄界隈の店ですが、ここで紹介されていたバー『アクアヴィット』には驚きました。これ北欧の酒アクアヴィットが名前の由来だと紹介され、また太田氏もキンキンに冷やされトロトロになったオールボー(デンマーク)のアクアヴィットを実にうまそうに飲み干していました。いえねぇ・・・以前研究会で名古屋を訪れたときに名古屋城の近くのホテルの上にあった眺めの良いバーでスコーネ(スウェーデン)アクアヴィットがあるのに驚き、研究会のメンバーに嬉々としてそれを薦めましたが・・・名古屋っていうところはアクアヴィットと何か深い関係があるのでしょうか?・・・すばらしい。

アクアヴィットの詳しい話はいずれしようと思いますが、なかなか大阪ではお目にかかれない酒です。これから日増しに暑くなる季節にあってはキンキンに凍らせたアクアヴィットが本当においしい季節だと思いますが、スピリット系ではなかなか知られていないものですから残念です。最近はいくつかの酒屋さんで、デンマークのオールボーでつくられているアクアヴィットは一番安いターフェルアクアヴィットくらいは買えるようになってきましが、アクアヴィットにもいろいろな銘柄があるわけでそれはここで紹介しなければなるまいと妙な使命感に燃えています。

いえ、もちろん日本アクアヴィット協会なんてところからお金をもらっているというわけではないし、もちろんそんな組織があるわけがない。ただこれも地道な北欧文化の普及活動の一環でしょうか(笑)。この間も梅田(というか曾根崎)にあるとてもとてもすてきなバーにアクアヴィットを入れてもらうことに成功しましたが・・・このバーのことも含めてまたいずれ・・・乞うご期待。

個人研究室の電話不通

大阪外大の僕の個人研究室に備え付けられている電話が壊れました。受話器の受け口部分のスイッチが元に戻らず、結果的に話し中の状態が続いているということです。緊急に修理を依頼しましたが、それが戻るまでは電話機がついていませんので必然的に内線5346は不通ということになります。古谷に緊急の連絡がある場合には、電子メールにてお願いします。

2005年4月19日 (火)

厳しい現実

大学における学問をめぐる状況は日々厳しさを増しています。僕が勤めている大学も国立大学の独立法人化をうけて問題が山積しています。いろいろな問題がありみなが奮闘している状況ですが、例えば研究を推進するための資金をどう獲得するかという問題があります。以前ならば、ある程度の研究費は大学からも提供されていましたが、大学運営をめぐる資金を自己獲得しなければならなくなった今では、こうした研究費もさまざまな形で外部から獲得する必要に迫られています。例えば理系学問のように企業との連携がとれやすく、我が国の産業などに直結するような目に見える形での研究ならば、その結果も明らかですから研究に資金も出しやすいでしょう。しかしながら、哲学や文学のような文系学問のように、研究結果の社会への還元が目に見える形で難しい学問では資金を得るにも、社会に対して明白な理由を訴えることが難しく研究費の獲得も困難です。そもそも文系/理系という区分さえアナクロで克服すべき概念かもしれませんが、文化立国に必要な長期的な視点にたてばこそ文系学問の研究理由も存在するのだというような(いささかナイーブな)理由をいくら訴えてみても、あるいは純粋にそれぞれの学問分野における学術的な見地にたったまっとうな研究理由を訴えてみても、この国ではもはや通用しないのかもしれません。歴史学はその時代と環境に応じてそれを志向する者の視点にたってアップトゥーデートに変幻自在な未来志向の学問である・・・とは僕の講義で最初に学生のみなさんに訴えかけていることですが、例えば研究資金の獲得という一つの事例をとってみても、今のこの国で関心を惹きうる存在理由を捻出し、歴史学そのものの通念を歴史学者自らがかえていかなければこの国で生き残ることはできないのかも知れません。緊急にして深刻な問題です。学生のみなさんはどうなのだろうか?みなさんにとって歴史学ってどうなんでしょうか?学問の世界に長く深くつかっていると、世間での非常識も学問の世界で常識でされていることこそが常識と当然視するようになってしまい、不感症に陥ってしまいます。それでも学問における理想を主張し、ドンキホーテのごとく突っ走るべきでしょうか?それともこの国が学問の世界に対して不感症になっていると批判すべきなのでしょうか?

PowerBook G4

新学期の新兵器として発注したPowerBook G4ですが、納期が遅れ今週中には届かない見通しです。英語キーボードに換装依頼したのがいけなかったかな。「MacOS X Tigerを待てないの?」とか、「PowerBook G5を待てないの?」とか、意見をもらいそうですが・・・待てません。現在のPowerBook G4のアーキテクチュアがかなり成熟されているという点が魅力といえば魅力ですが。

僕の「買い物」道の極意は、「思い立ったが吉日」。かつて大学の友人と「欲しいものを120%買う同盟」を結成し、「僕こんなの買ったよ」って言うと、「うぉーなんだお前はそれか。僕はさらにこんなの買ってたんだよ。」・・・って関係の連鎖を構築していましたが、つまりそれはあたかも現代日本の高度消費社会における「ポトラッチ」関係を現実化していたようなもので、こうして文化人類学上の重要概念をなんとなく体得していましたが・・・完全に学者にあるまじき発言です。ごめんなさい。

現代北欧地域論4・ 北欧文化講義II

次週26日の講義ファイルをアップします。なおこのファイルから閲覧・印刷にはパスワードを設定しました。パスワードについては、授業時間中にお知らせします。

第三回 中世ヨーロッパ世界と北欧(2)をダウンロード

教科書は今日の授業で最終的な希望者数を確認したうえで発注します。よろしく。

2005年4月18日 (月)

地域研究VIII

次週25日の講義ファイルをアップします。なおこのファイルから閲覧・印刷にはパスワードを設定しました。パスワードについては、授業時間中にお知らせします。

第3回 スウェーデンの基本をダウンロード

なお次週の授業時間に最初の「質問・感想コメント」を書いてもらおうと思います。

2005年4月17日 (日)

大河ドラマ

今年の大河ドラマは『義経』で、それはもちろん昨年のあらゆる意味でブッ飛んだ三谷幸喜脚本の『新選組』の反省からなのだとは思うのですが、歴史大河ドラマの王道をいくつくりで、多くの大河ドラマファンや歴史好きにとっては安心したつくりなのでしょうが、個人的には全くおもしろくありません。

誰もが幼い頃から親しみ、誰もがイメージする『平家物語』や『義経記』の数々の名シーンを、制作者と視聴者のイメージの最大公約数的なところを落としどころとしつつ、今様歴史絵巻として無難にまとめているという感じです。例えば、先週の石橋山での敗走シーンは前田青邨の『洞窟の頼朝』とそっくりだったし、今日の黄瀬川での兄弟邂逅のシーンは安田靫彦の『黄瀬川陣』とそっくり…つまりデジャヴュの連続といえばいいのかな…新鮮みにかけるばかりで眠くなりました。今年の『義経』は滝沢秀明君の美少年ぶりを楽しむくらいしか醍醐味を見つけられません。

それに比べると昨年の『新選組』は、脚本の対象自体よくわからないものでしたから毎回新鮮でしたし、しかも近藤勇にだけ注目するわけでなく群像劇という点でもおもしろかったし、今や伝説となった「駒場小劇場」の舞台を踏んだことがある身としては、なにより大河ドラマなのに数多くキャスティングされていた小劇場系の俳優さんによる快(怪)演の数々を毎週ニヤニヤしながら楽しんでいたわけです。

今日の『義経』では富士川の合戦で敗走する平家軍の総大将維盛を(これまた美少年系の)賀集利樹君が演じていたわけですが、賀集君、NHK教育では『ミニ英会話 とっさのひとこと』をずーっとやっているにもかかわらず、さすがに逃亡する自軍を制止するときのとっさのひとことは習っていなかったようです。同じ局なんだから、それぐらいのお遊びがあっても良いと思うのは僕ぐらいでしょうか…いや、もちろん英語でひところ!とは言いませんが。「知識は荷物になりません。あなたを守る懐刀。」ってとこを示してもらいたかった。

最近のコンピュータ環境(自宅編)

ここまでブログを書いてきて思ったことは、「僕は独り言が長い…」ということです。うーん…言いたいことがいろいろと溜まっていたということなのでしょうか、それとも生来の「おしゃべり」という性格がそうさせるのでしょうか…?

書きかけなので、自宅(…というか30年ものの古い官舎ですが)でのコンピュータ環境も整理しておきます。基本テーマは「いかにして古い住環境にめげず、スリムでスマートなコンピュータ環境を築くか?」です。だいぶシンプルな構成になりました。

【自宅】
コンピュータ…IBM ThinkPad X40 2371-1EJ(ウルトラベースX4をDVDマルチドライブで装着),Apple PowerBook G4 M9691J/A
PDA…hp hx4700
プリンタ(スキャナとの複合機)…Canon PIXUS MP900
無線LANルータ…Buffalo WLA-G54

僕は学部生の頃はじめてPCを使い始めて以来、ずっとThinkPadユーザーです。X40は昨年の渡欧時にもよく働いてくれたタフネスで、非常勤先や出張でも気軽に持ち歩けますから重宝しています。国産PCメーカーにあまりよい経験がないので、ThinkPad部門がIBM社から中国のLenovo社へ売却された後には、Appleか、hpかで行こうと思い、PowerBookを試用してみようと思っています。ようやく妻を説得して(…“MacPeople”誌に連載されている呉エイジ氏の『我が妻との闘争』を地でいく交渉を重ねました…トホホ)ついこの間注文したばかりなので手元に届いておらず、まだ海のものとも山のものともわかりません。

PDAについてはいずれ詳述しようと思いますが、PalmとかZaurusとかいろいろ使ってきましたがここ1年半はPocketPCに落ち着き、今やhx4700一台しか所有していません。その日の仕事に必要なファイルはすべてSDカードに仕込んで手ぶら通勤することが多くなり、同僚や学生からいろいろと質問攻めに会います。とりわけスウェーデン語を含めて構築した電子辞書環境は重宝しています。高価なPDAをすぐにお奨めすることはしませんが、例えば日本でスウェーデン語やデンマーク語などの電子辞書に恵まれない学生たちには電子辞書の作り方を教えたりしています。そのノウハウはまたいずれ。携帯電話も日々進化を遂げていますが、まだまだPDAも使い方によっては便利だと思っています。

官舎の部屋は狭いので機材は最小限に抑える必要があります。そうした意味では近年格段の進歩を遂げた複合機は便利です。CanonよりはEpsonのものが総じて評価が高いのですが、CCDスキャナーということでこの機種を選びました。僕たちの仕事では、厚い文献をスキャンすることが多いですが、綴じ込み部分などを立体的にスキャンするには安価なCISスキャナーでは満足に取り込めないことがあります。さて僕の年齢とほぼ同じ建築年数である官舎ですが、ようやく光ファイバー回線が導入されそうな見通しで、とりあえず高速な無線環境を整備しようとIEEE802.11g対応のルーターを置いています。光ファイバーが開通していないので、その実力は未知数ですが…。

今後は僕が使っていてとりわけ重宝しているハードウェアやソフトウェアを個別に紹介していこうと思います。

最近のコンピュータ環境(研究室編)

だいぶ前にはホームページ上で僕のコンピュータ環境を逐一報告していたかと思います。意外とそれを楽しみにしていた人もいるらしいので、今の状況を簡単に紹介します。まずは研究室の状況です。基本テーマは「いかにして安く、効率よく、古い施設でも最新の教育・研究環境を整備・提供・共有できるか?」です。(大阪外大の管理下にある研究費購入の物品は貸し出し可能なものならば共有財産として即座に対応可能です。同僚の先生方、いつでも声をかけてください!)

【研究室】
コンピュータ…自作PC,Apple Mac mini,hp TabletPC TC1100
プリンタ…沖データ MICROLINE 5200Canon PIXUS 990i
スキャナ…富士通PFU ScanSnap fi-5110EOXCanon N1220U
NAS…Buffalo HD-H120LAN
無線LANアクセスポイント…Buffalo WLA2-G54C
プロジェクタ…hp DigitalProjector sb21

主だったところは、これくらいです。デスクトップPCについてはWindows系はひとつひとつ安い部品を買い集めて作り上げた自作PCとMacintosh系はMac mini。いずれもVirtualPCというエミュレータを積んで同僚の方々のWindows98や2000といった環境を擬似的に僕のPCに作り上げ、何か問題があったときには即対応できます。英語版Windowsも動きますから事典や辞書など舶来もののCDソフトも動きます。近いうちにCPU切替機を導入して一台のモニタを共有しようと思います。

プリンタは沖データのカラーレーザーを愛用していますし、お奨めします。沖データのカラーレーザーが大学生協で安売りされていたときに買ったのですが、増設メモリと両面印刷ユニットがおまけで付いて10万円に満たない値段だったと思います。安い。しかもこのカラーレーザープリンタはネットワークプリンタなので、大阪外大のデンマーク語・スウェーデン語研究室の教員の間でワークグループを設定して、そのメンバー間で共有化しています。キャノンのインクジェットは完全にバックアップ用ですが、カラーレーザーは縁なし印刷に対応していないので、例えば書類作成などでマージンぎりぎりいっぱいの印刷が必要なときにはキャノンのプリンタを使います。

スキャナは、ドキュメントスキャナのScanSnapとフラットベッドのCanoScan。高速読込のドキュメントスキャナを使い始めたことで文書の扱い方が一変しました。会議関連の書類やA4でコピーをとった論文などはすべてこのスキャナでPDFファイル化しています。資源の節約に一役買っています…かね。例えば、僕のゼミの論文ファイルは今年からPDF化したわけですが、一枚一枚スキャナをとるようなことはせず、A4でとったマスターコピーを一気にこのドキュメントスキャナに流し込むというやり方で作成しました。でも、ときたま教材作成などで本などから写真や図版を取り込む必要がありますから、伝統的なフラットヘッドも置いてあります。

ネットワーク関連は、Buffalo社の製品で統一。僕の研究室では無線LANのアクセスポイントを立ててあって、しかもWEPをかけていませんので、僕の研究室の周りでは“野良”電波を拾い放題、無線でネットワークにつなぎ放題…です。同僚の方々にも(わかっている人には)重宝していただいているもの…と確信しています。というよりは(1)大阪外大のデンマーク語・スウェーデン語研究室はほぼ毎週僕の二つ隣りの先生の研究室で会議が開かれるのですが、そのときに無線ですぐに情報を調べられるようにという理由と、(2)僕の研究室の真向かいにあるデンマーク語・スウェーデン語共同研究室に集う学生諸君がネットワークにいつでも接続できるようにという理由から解放しています。

最近はやりのNASですが、これはファイルサーバですので24時間立ち上げっぱなしにしておいて、デンマーク語・スウェーデン語研究室の同僚の間でワークグループをつくって、僕たちの研究室で必要な書類を保存・共有しています。こればかりは研究室・個人単位で重要なファイルが多いですから、パスワードによるアクセス制限は厳しく設定していまっすし、そもそも僕たちのワークグループに参加しないと閲覧さえできません。

最後にプロジェクタですが、現状で考え得るもっとも安価で、もっとも軽量で持ち運びに便利なプロジェクタということでhp社のものを使っています。そもそも大阪外大の教室設備は古く、関西外大のようにすべての教室にスクリーンやらプロジェクタやらがあるわけではありません。(はじめて関西外大にいったときには、その先端的な教室設備に愕然としました!)従って持ち運び可能な1kg程度のプロジェクタが必要となるわけです。プロジェクタ選びの際には明るさの単位である「ルーメンがどう?」とかでこだわる人もいるかも知れませんが、僕の実績上、この小さな1000ルーメンたらずのプロジェクタは300人くらい入る大教室での使用に全く問題ありませんでした。

hp社のもの…。ここで一つ説明していないものがありますね…TabletPCです。ここ1年あまり、ほとんどの人に話さず、ひっそりと試用を重ねてきた僕の教育ツールの「最終兵器」です。長くなりましたから、これについてはまた別の機会にまとめましょう。

PDFビューワ

講義ファイルなどで配布しているPDFファイルですが、通常PDFファイルの閲覧で用いるソフトはAdobe Readerが一般的です。でも、このソフトは起動が重ったるくてパソコンの環境によっては使うのに躊躇する人も多いでしょう。

そこで、PDFファイルの閲覧と印刷だけでの用途でしたら以下のソフトの導入をお奨めします。それは、Foxit PDF Readerというソフトです。英語版のソフトですが、X-WORKSさんのサイトにある日本語化パッチをあてるとメニュー表示が日本語化されます。このとき注意すべき点は、日本語によるPDFファイルを表示させるにはFoxit社のサイトにある東アジア言語を表示させるためのバイナリファイル(fpdfcjk.bin)をPDF Readerのフォルダに入れておくことです。

とても軽快なソフトですから、導入をお奨めします。

2005年4月16日 (土)

新しい生活

この一週間は新学期がはじまったということもあって、大阪外大と大阪外大から一番近いターミナルステーションである千里中央とを結ぶバスはいつも満員です。とりわけ昨日の帰りのバスは、新学期の週末金曜日の夕刻とあって新歓コンパとかへ向かう学生で溢れ、あたかもそれは平日朝の「井の頭線(・・・僕が唯一経験したことのある通学ラッシュの記憶は井の頭線なのです・・・)のようでした。これはこれで春の風物詩といった感じで、ある意味納得づくの(そして微笑ましい・・・昨日のラッシュのなかで発泡酒の段ボールを抱えていた学生はさぞ大変だったろうよ・・・「ビールと発泡酒の違い」とか、「いかに発泡酒はまずく、ビールはうまいのか」とか、気分転換に蘊蓄を語りかけても良かったのだけれども、僕の授業に登録していないからバスでは「お預け」・・・って、いずれにせよコンパお疲れ様・・・)光景です。

大阪外大と千里中央との間は30分~40分程度バスに揺られます(・・・つまり大阪外大でゼミを終わらせ、さてコンパへ!と思っても少なくとも30分くらいはバスにゆられなければ、めぼしい店はないということです)が、この間の時間の過ごし方はPDAの活用で落ち着いています。バスは大変揺れが激しく、細かな文字を読むのはちょっとつらいですから、エンコーディングした音楽や映画を楽しむ日々です。ときにはメールチェックや、どうしても・・・という場合にはPDF化した論文をやはりPDAで読んでいる場合もあります。さらに暇なときには、EPWING化した平凡社、小学館、ブリタニカの百科事典の項目を無作為抽出して、比較して読んだりしています。(意外に使い回しが多いことがわかります。)いずれにせよ、今使っているPDAはhp hx4700という機種ですが、こうした大きな解像度の液晶画面と動画処理能力をもったPDAが実現したことでできる時間の過ごし方です。具体的な方法はおいおい紹介しましょう。

新しい生活と言えば、屈折10数年・・・隠れMac信徒だった僕は、晴れてMacユーザだと断言できる環境をえました。この1月にメインマシンであったSony VAIO Zが、巷で言うところの「ソニータイマー」見事に発動し、購入後たったの1年半で壊れてしまいました。修理見積もりに出したところ14万円も修理にかかると言われたので、Sonyの横暴な対応ぶりにブチキレ・・・!。その時に研究室に余っていたモニターとキーボードとマウスを使い回し、融通の利いたなけなしのお金でMac miniを緊急購入しました。6万程度でしたか・・・安くてよかった。・・・というかVAIOの修理代でMac mini 2台は買えるよね・・・って、Sonyはやはり何を考えているのか全くわからん。こうした次第で消極的な理由から使い始めたわけですが、MacOS Xのユーザインタフェースの優しさ、アンチエイリアスフォントの美しい表示、ヒラギノフォントのきれいな印字に完全に「ヤラ」れちゃいました。Macについてもまたいずれお話しますね。

ハンネさんの論文落手

『東デンマークが南スウェーデンになった』プロジェクトの中心人物は、ルンド大学のハラルド・グスタフソン歴史学部教授ですが、昨日帰宅して みたら彼の奥さんであるルンド大学のハンネ・サンダースさん(彼女はdocentという職名ですが、これは歴史学部助教授と言えばいいのかな・・・例えば僕は最近助教授になったのですが、大阪外大に務めているスウェーデン人の同僚から「それはdocentだ」と言われたので、そうしておきます)のかかわった共同研究プロジェクト『神と悪魔の狭間 ー 北欧における宗教と魔術の世界観』の論文集が届いていました。この論文集は少し前のものだったので、大ぶ 前にこの共同研究プロジェクトのパトロンである北欧閣僚会議にダイレクトに発注していたのですが、その後何の音沙汰もないままいきなり届きました。数ヶ月前に“スウェーデンのDNB”(・・・などと言ったらイギリス史の人から石を投げつけられそうですが、勝手にそう読んでいます・・・)にあたるSvenskt biografiskt lexikonを発注したときもそうだったのですが、ネットで発注できるのは便利なのだけれどもその後何の返答もないまま、突然請求書とともに現物が届く場合が意外と多いですね。

ハンネさんは個人的にも古谷家的にもルンドでとてもよくしていただいた方だし、ハラルドとの二人の子供育てながらも(といっても完全な男女共同参画だったけど・・・ハラルドはいつも子供のやんちゃぶりに頭を抱えていたのを、ハンネさんがおおらかに見守っているという感じ・・・)、“スウェーデンにおけるデンマーク史研究センター”(・・・って深いんだか、狭いんだかなんともビミョーな感じがしますが、一応ルンド大学歴史学部のハンネさんのオフィスがそうです)の長も務める研究者だし・・・ということで、もろもろの意味を込めて、彼女がこの論文集のなかに寄稿している近世スコーネにおける宗教観・世界観に関する論文は(・・・そもそもこのテーマでの先行業績は少ないのですが・・・最近の僕の関心に一番近い研究ですので)楽しみです。

歴史ゼミの新機軸

今年度から大阪外大における北欧史ゼミは、形式上人数増加を理由にデンマーク歴史ゼミとスウェーデン歴史ゼミに分かれたのですが、こうすることで大阪外大着任以来あたためてきたプランを一つ実行しようと思っています。

それは北欧史に共有される歴史的問題に対して、デンマークの歴史学研究者とスウェーデンの歴史学研究者がそれぞれどのようにアプローチし、解釈を示してきたのかを、デンマーク語・スウェーデン語それぞれの研究論文を読むことから比較し、年に何度か大阪外大のデンマーク歴史ゼミとスウェーデン歴史ゼミで合同セッションを開き、お互いに議論を闘わせてみるというプランです。これまでは専攻語の違いがあって、北欧史ゼミではデンマーク語の学生もスウェーデン語の学生も読める英語論文を使ってきましたが、両者が分割されることによってようやくそれぞれの専攻語で、それぞれの歴史学界を反映した論文を読めるようになりました。

今年のテーマは「近世北欧におけるスコーネ」。大阪外大の学生のみなさんにはお馴染みだと思いますが、スカンディナヴィア半島南端のスコーネ地方は、17世紀半ばに形式上デンマークからスウェーデンへと領土替えがあって、従来の国民主義的な歴史解釈に従えばその後18世紀初頭までに「スウェーデン化」が進展したというわれている地域です。この時代にあって、いきなり僕たちの時代の人間が当然視しているイメージを押しつけて、スコーネの人々は「デンマーク人」から「スウェーデン人」へ変わったのだと捉えるのは、その時代の社会的背景を無視した短絡的で横暴な議論です。そこで当時のスコーネ社会をふりかえることで、そこに生きていた人々の自己意識がどのようなものだったのか、はたして彼らは自分たちをどういった社会に生きていると意識していたのか、その具体的な様子を論じてみたいと思っているのです。例えば今回スウェーデン歴史ゼミで読む論文は、スコーネの貴族たちのアイデンティティを論じたものです。

今年のテーマで大阪外大の学生のみなさんに読んでもらう論文集は、この近世スコーネをめぐるデンマーク=スウェーデン関係についてスウェーデンのルンド大学や、デンマークのコペンハーゲン大学などに属する研究者たちが進めてきた共同研究プロジェクトの成果です。それは「東デンマークは南スウェーデンになった」と題されたプロジェクトで、2003年に完成されたものです。最近の北欧はEU統合や移民流入などが進んで、従来のように自分たちを単純に「デンマーク人」だとか「スウェーデン人」だとか思えない状況が生まれてきています。「自分たちは何者なのか」という問題関心は北欧における歴史学研究にも反映されていて、例えば国境線を超えた共同研究という研究のかたちで、帰属意識の「境界」を問う「スコーネ」などがホットな研究テーマのひとつになっているのです。ただ歴史学者も自分の生きている環境に大きく影響される人間ですから、ある一つの歴史的事実も学者が生きる時代、環境によってその解釈はいろいろとありえます。スコーネの問題も、やはり時代とともにその意味が変わってきているのですが、今回デンマーク歴史ゼミで読もうとしているのは、スコーネを失った側のデンマークの歴史家がこの問題を今に至るまでどのように解釈してきたかというものです。

長くなりました。一緒に勉強しましょう。

デンマーク歴史ゼミ、スウェーデン歴史ゼミの参加者へ

一週目の授業が一通り終わりました。まず大変大きな問題としては、デンマーク近現代史演習に参加してくれている学生の皆さんに重要なお知らせを伝えることを忘れてしまいました。それは講読論文ファイルのパスワードの件です。すでに何人かの学生諸君にはお伝えしましたが、NTTDoCoMoを使っている人への連絡メールは(おそらくCCのメールが拒否されたということですが)戻ってきてしまったので、早々に個人的に伝えます。

デンマーク歴史ゼミでの話し合いが終わったことで、スウェーデン歴史ゼミと共同でこなすべき日程について決定しましたので、いくつか連絡します。

(1)卒業アルバム用のゼミ集合写真を、4月20日12時30分中庭集合ということで撮ります。しかしこれはあくまでも予定です。

(2)初回の合同コンパは、5月6日デンマーク歴史ゼミの終了後に北千里での予定で開催します。これは強制ではありませんから、安心してください。

(3)今学期のデンマーク歴史ゼミとスウェーデン歴史ゼミの合同セッションは、7月22日を予定しています。この週は7月20日のスウェーデン歴史ゼミは開かず、そのかわりスウェーデンの学生諸君は7月22日5限(A101)のデンマーク歴史ゼミに合流してください。

2005年4月15日 (金)

『グレの歌』以降・・・

ブログをはじめて、いきなり趣味の話にはしるのもどうかと思ったのですが、きっと日記なんてものはそんなふうに肩肘張っていてはすぐに失敗するものだろうから、何も考えずに思いついたことを一つ。

かなり親しい友人には、それとなく2002年に出たラトルの『グレの歌』がすごいよと伝えていた記憶があります。正直に告白すれば、少年時代以来の僕にとってのカリスマはカラヤンやバーンスタインだったのだけれども、彼らが死んで以来、クラシック音楽の最前線はどうでも良いと思い始め、演奏家ではなく作曲家に注目しながら音楽を(聴くというよりは)収集してきました。そんな気持ちをあらためさせる好録音が上の『グレの歌』(・・・これ中世デンマークを舞台としたテキストなので、たまに授業のネタにしますが・・・)でした。

それ以来、まぁそれなりに話題になっているCDはそれなりに聴いてきたのですが、それでもここ2〜3年くらいは大ヒットは個人的にはありませんでした。例えば、今月のCD購入リストといえば、エルガーの交響曲3番(!)に、エルガーのピアノ協奏曲(!)、スメタナやドボルザークに埋もれて忘れられてるチェコのズデニェク・フィビフ(チ?)という作曲家の交響曲全集に・・・といった感じで、「あぁ、今月もはずればかりか・・・」と思っていたのですが、最後に一枚残っていたバルトークのピアノ協奏曲集は『グレの歌』以来の個人的なヒットでした。さすがはユニバーサルだと思うのですが、ブーレーズ(この人いったい何歳になるんだ!)の指揮はあいかわらず明晰だし、なによりツィメルマン(高校時代以来、一番すきなピアニストです)、アンスネス(ノルウェーだね)、グレモーって、三人のピアニストにそれぞれの協奏曲を引かせている企画がすごい。個人的には二番協奏曲は、20世紀の協奏曲のなかでもダントツに好きな曲なのですが(・・・個人的にはこれと、プロコフィエフの3番、ラヴェルの協奏曲が20世紀の三大協奏曲だと、勝手に信じ込んでいます)、アンスネスのクリアな演奏に感激・・・よくもあんな複雑な曲をわかりやすく演奏するもんだと思いました。

というか、こんな豪勢なメンバーでこの曲が聴けるなんて幸せですし、久々に聴いて頭のすっきりするCDでした。

北欧文化演習V-1・VI-2

大阪外大金曜5限(A101教室)に 開講されるデンマーク近現代史演習で講読するファイルは以下のとおりです。受講する学生のみなさんは以下の論文ファイルを「右クリック」→「リンク先を名前をつけて保存」してください。論文ファイルを閲覧するには、パスワードが必要です。これは授業中に紹介します。なお履修登録する際には、科目名に注意してください。

古谷大輔,“近世スウェーデンにおける祖国概念”,『IDUN』Vol.16,2004.をダウンロード

古谷大輔,“バルト海定帝国とスコーネの「スウェーデン化」”,『IDUN』Vol.15,2002.をダウンロード

Krl-Erik Frandsen, "Da Østdanmark blev til Sydsverige 1645-1720", K. E. Frandsen & J. C. V. Johansen (red.), Da østdanmark blev sydsverige, Ebeltoft 2003. をダウンロード

2005年4月13日 (水)

北欧文化演習V-2・VI-1

大阪外大水曜5限(教室はA棟6階古谷研究室に変更)に 開講されるスウェーデン近現代史演習で講読するファイルは以下のとおりです。受講する学生のみなさんは以下の論文ファイルを「右クリック」→「リンク先を名 前をつけて保存」してください。論文ファイルを閲覧するには、パスワードが必要です。これは授業中に紹介します。なお履修登録する際には、科目名に注意し てください。

古谷大輔,“近世スウェーデンにおける祖国概念”,『IDUN』Vol.16,2004.をダウンロード

古谷大輔,“バルト海帝国とスコーネの「スウェーデン化」”,『IDUN』Vol.15,2002.をダウンロード

Fredrik Persson, "Riddare av det jurudiska gränsland", K. E. Frandsen & J. C. V. Johansen (red.), Da østdanmark blev sydsverige, Ebeltoft 2003.をダウンロード

2005年4月12日 (火)

現代北欧地域論4・ 北欧文化講義II

大阪外大火曜4限(A209教室)で開講される現代北欧地域論4・ 北欧文化講義II(北欧史)の第一回、第二回の講義ファイルを以下にアップロードします。この授業を受講する学生のみなさんは、それぞれのファイルを「右クリック」→「リンク先を名前をつけて保存」してください。

第一回 我々の生きる時代の歴史と歴史学をダウンロード

第二回 中世ヨーロッパ世界と北欧(1)をダウンロード

なお履修登録の際には、一学期・二学期の科目番号を一緒に登録してください。形式上、この授業は一学期と二学期に分かれていますが、原則的に通年履修が単位取得の条件です。(つまり半期だけでは成績はつきません!)

北欧文化特殊研究Ⅰ

大阪外大火曜3限(A205教室)で開講される北欧文化特殊研究Ⅰ(北欧の地誌)を受講する学生のみなさんは、次回19日の授業の際にグループ学習の班分けとテーマ設定を行いますので、必ず出席すること。なお今年度一学期のテーマは、「北欧の都市」。各自関心のある都市を考えてきてください。

2005年4月11日 (月)

地域研究VIII

関西外大月曜3限(1205教室)にて開講される地域研究VIII(北欧)の第一回、第二回の講義ファイルを以下にアップロードします。この授業を受講する学生のみなさんは、それぞれのファイルを「右クリック」→「リンク先を名前をつけて保存」してください。

第一回 私たちにとっての「北欧」をダウンロード

第二回 「北欧」世界/文化圏の基本をダウンロード

なお5月16日の講義は、古谷が日本西洋史学会関連行事に参加するためお休みとします。補講の日程は次回の授業の際に話し合いましょう。

2005年4月 8日 (金)

ブログの開設にあたって

このページにいらっしゃっみなさん、ようこそ!

1999年以来、古典的なホームページスタイルでサイトを運営してきましたが、2〜3年のブランクを経てブログとしてリニューアルします。長らく発言を途絶させてしまい、申し訳ありませんでした。

ブログの利用については僕が担当している授業運営の補助手段として、この形式がどれほど有効なものかを見極めたいという理由があります。大阪外大や関西外大などの学生のみなさんは、各自が受講する日付のコメントを読み、適宜関連ファイルをダウンロードするだけではなく、コメントも寄せてみてください。そうすることでなかなか教室の現場だけでは実現できないみなさんとの意見の交流を果たしたいと考えています。

もちろん僕は北欧史の研究と教育に携わるものですから、それに関して日々感じたこともこの場では述べられるでしょう。そして僕もひとりの人間ですから、ときには趣味などを話題に息抜きも語られるでしょう。もちろん僕の名前を聞いて多くの方が期待されるだろうコンピュータ関連の話題も発言していくつもりです。

例えば、この巻頭の発言も今登校途中のバスのなかからPDAを通じてアップするように、PCさえ必要としないで意見の双方向性が確保され、意見の交換を柔軟に行えるブログの可能性をこの一年は見極めてみようと思っています。「で、よろしく。」

トップページ | 2005年5月 »